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代数位相幾何学における基本群 📂位相データ分析

代数位相幾何学における基本群

定義 1

位相空間 XX と単位区間 I=[0,1]I = [0,1] が与えられたとする。

  1. XX のパス f,g:I→Xf, g : I \to X に対して、f(1)=g(0)f (1) = g(0) の時、2つのパスの積または合成 f⋅gf \cdot g を以下のように定義する。 f⋅g(s):={f(2s),if s∈[0,1/2]g(2s−1),if s∈[1/2,1] f \cdot g (s) := \begin{cases} f \left( 2s \right) & , \text{if } s \in [0, 1/2] \\ g \left( 2s - 1 \right) & , \text{if } s \in [1/2, 1] \end{cases}
  2. パス f:I→Xf : I \to X に対して、f‾(s):=f(1−s)\overline{f} (s) := f (1-s) で定義されたパス f‾:I→X\overline{f} : I \to X をff の逆パスと言う。
  3. すべての s1,s2∈Is_{1} , s_{2} \in I に対して、cx0(s1)=cx0(s2)=x0c_{x_{0}} \left( s_{1} \right) = c_{x_{0}} \left( s_{2} \right) = x_{0} であるパス cx0c_{x_{0}}、つまり定数関数であるパスを定数パスと言う。
  4. f(0)=f(1)=x0∈Xf (0) = f(1) = x_{0} \in X の時、つまり始点と終点が同じパス ff をループと言い、x0∈Xx_{0} \in X を基点と言う。
  5. x0∈Xx_{0} \in X を基点とするホモトピー ff のすべてのホモトピークラス [f]\left[ f \right] の集合をπ1(X,x0)\pi_{1} \left( X , x_{0} \right) として示す。2つのループのホモトピークラス [f],[g]∈π1(X,x0)[f] , [g] \in \pi_{1} \left( X , x_{0} \right) に対する二項演算 ∗\ast を [f]∗[g]:=[f⋅g] [f] \ast [g] := \left[ f \cdot g \right] として定義する時、群 π1((X,x0))\pi_{1} \left( \left( X , x_{0} \right) \right) を基本群と呼ぶ。通常、∗\ast は述べられることさえなく[f][g]=[f⋅g][f] [g] = [f \cdot g] として書かれる。

説明

まず数学で基本という言葉が付いているものは、何であれ非常に重要なものである。初めて接する時はループがどうたらこの群をどう作るかなど抵抗感を感じるかもしれないが、ただのループの集合ではなくそのホモトピーを考えることによって、結局は位相空間の性質に興味を持つという点を考えれば、その意味を想像しやすくなる。

パスの積

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パスの積 f⋅gf \cdot g は式から直接わかるように、0≤s≤1/20 \le s \le 1/2 ではffに沿って進み、1/2≤s≤11/2 \le s \le 1 ではgg に沿って進む。このようなパス同士の積が連続であることは、貼り付けの補題によって保証される。

貼り付けの補題: 位相空間 X,YX,Y に対して二つの閉集合 A,B⊂XA,B \subset X が A∪B=XA \cup B = X を満たし、二つの連続関数 f:A→Yf : A \to Y と g:B→Yg : B \to Y がすべての x∈A∩Bx \in A \cap B に対して f(x)=g(x)f(x) = g(x) であるとする。そうすると、以下のように定義されたhh は連続関数である。 h(x):={f(x),x∈Ag(x),x∈B h(x) : = \begin{cases} f(x), & x \in A \\ g(x), & x \in B \end{cases}

全く難しくない概念だが、言葉が少々気になるかもしれない。パスは本質的に関数であるため、合成と言うと合成関数と混同される可能性があり、また、積も XX で乗算と言えるような操作が存在する場合、混乱を招く可能性がある。しかし、心配とは裏腹に実際に勉強してみると、ホモトピークラスの操作 [f][g]=[f⋅g][f] [g] = [f \cdot g] だけが主に言及され、この時に登場するf⋅gf \cdot g をわざわざ言葉で説明することはほとんどない。

基本群の逆元と単位元

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逆パスとは、パスの積において辿った跡を消していくことと言えるだろう。直感的に理解するためには、f‾\overline{f} が単にパス ff と同じであるが、その方向が逆であると考える。

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それでは、任意のパス ff に対して、f‾\overline{f} との積 f⋅f‾f \cdot \overline{f} は始点と終点が同じであるため、ループとなる。ここで注目すべき点は、ff の終点でありf‾\overline{f} の始点であるx1x_{1} を正確に通過するか、ただ単にx0x_{0} その場に静止する定数パスcx0c_{x_{0}} であるか、正確には同じではないがホモトピックだということである。π1(X,x0)\pi_{1} \left( X, x_{0} \right) はホモトピークラスの集合であるため、すべてのff に対して f⋅f‾≃cx0 f \cdot \overline{f} \simeq c_{x_{0}} が成り立つことになる。これを見ると、ff が何であれそのホモトピークラス[f][f] は、f‾\overline{f} のホモトピークラス [f‾]\left[ \overline{f} \right] との演算を通じて常に[cx0]\left[ c_{x_{0}} \right] となり、cx0c_{x_{0}} はその定義そのものからπ1(X,x0)\pi_{1} \left( X , x_{0} \right) の単位元であることが分かる。

単連結空間

これまでの議論を見ると、基本群にx0x_{0} が本当に必要かについて疑問が湧くかもしれない。

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例えば、上の図のように、あるx0x_{0} から始まって新しい点x1∈Xx_{1} \in X に到着する前のパスを「消してしまう」形のループを考えることができ、どの基点を選んでも大して変わらないように見える。

基本群の基点の置き換え: 位相空間 XX が与えられたとする。h:I→Xh : I \to X をx0x_{0} からx1x_{1} までのパスとすると、βh[f]:=[h⋅f⋅h‾]\beta_{h} [f] := \left[ h \cdot f \cdot \overline{h} \right] で定義された関数βh:π1(X,x1)→π0(X1,x0)\beta_{h} : \pi_{1} \left( X , x_{1} \right) \to \pi_{0} \left( X_{1} , x_{0} \right) はアイソモーフィズムであり、これを基点の置き換えと呼ぶ。

上の定理によると、XX が経路連結であれば、π1(X,x)\pi_{1} \left( X , x \right) は基点xx の選択に関係なくすべてアイソモーフィックなので、π1(X)\pi_{1} \left( X \right) として表現されたり、さらに簡潔にはπ1X\pi_{1} X とも書かれる。

特に、経路連結性を持ちながら基本群π1X\pi_{1} X が自明群である、つまり単位元 ee だけを持つ有限群とアイソモーフィックで、π1X≃{e}\pi_{1} X \simeq \left\{ e \right\} である場合、XX は単連結空間とされる。

逆に言えば、一般的に基本群はこの基点x0x_{0} の選択によって性質が大きく異なることがあり、経路連結であっても代数的にどのような性質を持っているかを別途確認する必要がある。

  1. Hatcher. (2002). Algebraic Topology: p26~28. ↩︎