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ベズーの定理 📂抽象代数

ベズーの定理

定義

整域 $D$で次の等式をベズーの恒等式という。 $$ m a + n b = \gcd \left( a, b \right) $$

全ての$a, b \in D$に対してベズーの恒等式を満たす$m,n \in D$が存在する場合、$D$をベズー整域bézout Domainという。


定理

PIDはベズー整域である

主イデアル整域はベズー整域である。つまり、主イデアル整域 $R$の全ての$a, b \in R$に対してベズーの恒等式を満たす$m,n \in R$が常に存在する。 $$ m a + n b = \gcd \left( a, b \right) $$

証明 1

$a ,b \in R$を$d := \gcd \left( a,b \right)$とする。$R$がPIDなので、$a R + b R$もPIDであり、 $$ a R + b R = c R $$ を満たす$c \in R$が存在する。$d$が$a,b$の最小公倍数なので、$a R + b R \subset d R$であり、そのために、 $$ a R + b R \subset d R \subset c R = a R + b R $$ が成立する。最も左側と最も右側が等しいので、$a R + b R = d R$であり、次を満たす$m , n \in R$が存在しなければならない。 $$ ma + nb = d $$

説明

数論で登場する拡張ユークリッドの定理の一般化と見ることができる。

なお、定理の逆、ベズー整域がPIDになるには、それに加えて一意分解整域である必要がある。2