デルタ-コンプレックスの定義
📂位相データ分析デルタ-コンプレックスの定義
定義
シンプレックスの定義:
- アフィン独立な v0,v1,⋯,vn∈Rn+1 の凸包を n-シンプレックスn-simplex Δn と言い、ベクター vk を 頂点vertexと呼ぶ。数式で示すと以下の通り。
Δn:={k∑tkvk:vk∈Rn+1,tk≥0,k∑tk=1}
- Δn からひとつの頂点が取り除かれて作られた n−1-シンプレックス Δn−1 を Δn の 面faceと言い、Δn のすべての面の合併を 境界boundaryと言って、∂Δn で示す。
- シンプレックスの内部 (Δn)∘:=Δn∖∂Δn を オープンシンプレックスopen Simplexと呼ぶ。
位相空間 X 上の Δ-コンプレックス構造Δ-Complex Structureとは、インデックス α に依存する n:=n(α) を持ち、次の三つの条件を満たす写像 σα:Δn→X の集合である。
- (i): σα のオープンシンプレックス (Δn)∘ での制限関数 σα∣(Δn)∘ は単射であり、X の各点は σα∣(Δn)∘ のイメージのちょうど一つに含まれる。
- (ii): σα の Δn の一つの面での制限関数は σβ:Δn−1→X の一つである。
- (iii) 連続性: すべての σγ は連続関数でなければならない。つまり、A⊂X が X で開集合であることは、すべての σα の定義域 Δn で σγ−1(A) が開集合であることと同義である。
説明
注意点
ここで定義されるものが正確にコンプレックスではなく コンプレックス構造であり、そしてそれがただの「写像の集合」であることを理解することが重要である。代数学や位相学無しでこの集合だけを持っていても、ほとんど何もできない。定義で述べられている共通集合 σ1∩σ2 などを考えることもできない。しかし、条件(ii)がその役割を果たすため、概念的にこれをコンプレックスと呼ぶことに問題はないが、詳細が必要な場合は議論することが重要である。
代数位相
これらの写像自体を一種の文字として見ることで、自由群におけるシンプリシャル・ホモロジー群を作り、探求していく。その時点になると、シンプレックス Δn や空間 X などはもはや覚えていなくなるかもしれないが、そのためには一度はしっかりと勉強しておく必要がある。
例: トーラス
テキストだけでは理解が難しいのが普通だ。最もシンプルな例として、トーラス X=T を見てみよう。
構成
実際、トーラスを作るには シンプレックスのコンプレックス、すなわちシンプリシャル・コンプレックスまで必要はなく、単に正方形 S1×S1 で十分だが、意味ある代数的探究のためには、後で説明する 6 個の写像が必要になる。

これはトーラスを上から見た投影図である。σa, σb, σv はトーラスを作る際のナイーブな方法である種の「骨格」の役割をする写像である。σb は正方形を丸めて円筒を作り、σa はその円筒の両端を繋げてドーナツを作る。この時、正方形の頂点は正確に一つの点に集まらなければならないが、σv がその役割を果たす。

これはトーラスを横から見た投影図である。σU, σL はフレームの間を埋める「面」と言える部分をマッピングしている。繰り返し強調するが、σc はトーラスを考えた際には必ずしも必要ではないが、正方形を二つの三角形の合併と見た時に、その境界を担う写 pmである。
定義との比較
定義に基づいて、トーラス T2 の Δ-コンプレックス構造は、写像の集合
{σU,σL,σa,σb,σc,σv}
である。2-シンプリシャル・コンプレックスまで考慮したので、α に依存する n は n=0,1,2 まで考えれば良い。
- 条件(iii)の連続性は直感で十分理解できるはずだ。
- α=L,U に対する n=n(α) は 2 だ。これらは正方形 S1×S1 を面と呼べる U∘,L∘ の点を全て欠けることなくX に送る。
- U,L の面は、線分 a, b, c であり、それに対応する n=(β) は 1 だ。これらは U∘,L∘ を囲む線分の端点を除いてX に送る。条件(ii)がこのように満たされる。
- 最後に、n=0 の時、0-シンプレックスである点 v は a, b, c の面であり、σv によってX の残りの最後の点に送られる。これまでの議論により、X の各点は六つの写像の一つのイメージに正確に含まれるため、条件(i)が満たされることが確認できる。