ポーカー・プランク方程式の導出
📂確率微分方程式ポーカー・プランク方程式の導出
定理
dXt=f(t,Xt)dt+g(t,Xt)dWt,t∈[t0,T]
確率微分方程式が上記のように与えられ、F∈C0∞(R)とする。そうすると、t時点でのXtの確率密度関数p(t,x)は、次の偏微分方程式に従う。
∂t∂p(t,x)=−∂x∂[p(t,x)f(t,x)]+21∂x2∂2[p(t,x)(g(t,x))2]
説明
方程式で描写されるのは、Xt自体ではなく、その確率分布であることに注意しよう。
特にf=0の場合は、熱方程式である。
導出
X=f=g=g2=Xtf(t,Xt)g(t,Xt)[g(t,Xt)]2
便宜上、上記のような記法を許可し、次のように広く使われる偏微分の記法を使用しよう。
Fx=∂x∂F
Part 1.
- 伊藤の公式:
dYt=(Vt+Vxu+21Vxxv2)dt+VxvdWt
- [6] 伊藤積分の期待値:
E[∫abfdWt]=0
伊藤の公式によると、dF(X)を計算すると、即ち伊藤積分の期待値 (⋆)による
⟹⟹⟹dF(X)=(fFx+21g2Fxx)dt+gFxdWs∫0tdF(X)=∫0t(fFx+21g2Fxx)dt+∫0tgFxdWsE(F(X))=E∫0t(fFx+21g2Fxx)ds+0dtdE(F)=E[fFx+21g2Fxx]∵⋆
Part 2. p(t,x)の登場
一方、F(X)の期待値は、t時点でのXtの確率密度関数p(t,x)に関して∫Rp(t,x)F(x)dxのように表現できるので、
dtdE(F)=⟹dtd∫−∞∞p(t,x)F(x)dx=E[fFx+21g2Fxx]∫−∞∞p(t,x)[fFx+21g2Fxx]dx
では、右辺を一つずつ部分積分で計算してみよう。
Part 3. 部分積分
p(t,±∞)=0である。初めの項∫−∞∞p(t,x)fFxdxは
==∫−∞∞p(t,x)fFxdx[p(t,x)f⋅F(x)]−∞∞−∫−∞∞∂x∂[p(t,x)f]F(x)dx0−0−∫−∞∞∂x∂[p(t,x)f]F(x)dx
F∈C0∞(R)という仮定によって、F(±∞)=0である。二番目の項∫−∞∞p(t,x)21g2Fxxdxは、部分積分を二度行うことで
====∫−∞∞p(t,x)21g2Fxxdx[p(t,x)21g2⋅Fx(x)]−∞∞−21∫−∞∞∂x∂[p(t,x)g2]Fx(x)dx0−0−21∫−∞∞∂x∂[p(t,x)g2]Fx(x)dx−21[∂x∂[p(t,x)g2]F(x)]−∞∞+21∫−∞∞∂x2∂2[p(t,x)g2]F(x)dx−0+0+21∫−∞∞∂x2∂2[p(t,x)g2]F(x)dx
Part 4.
===∫−∞∞∂t∂p(t,x)F(x)dxdtd∫−∞∞p(t,x)F(x)dx∫−∞∞p(t,x)[fFx+21g2Fxx]dx−∫−∞∞∂x∂[p(t,x)f]F(x)dx+21∫−∞∞∂x2∂2[p(t,x)g2]F(x)dx
第一行を左側に、最後の行を左側に持ってくると、次のようになる。
∫−∞∞[∂t∂p(t,x)−(−∂x∂[p(t,x)f]+21∂x2∂2[p(t,x)g2])]F(x)dx=0
上記の積分はすべてのF∈C0∞(R)に対して成立するため、括弧の中が0となり、求めていた偏微分方程式を得る。
∂t∂p(t,x)=−∂x∂[p(t,x)f(t,x)]+21∂x2∂2[p(t,x)(g(t,x))2]
■
参照