複素解析を用いたテイラー級数の導出
📂複素解析複素解析を用いたテイラー級数の導出
定理
関数 f:A⊆C→C が円 ∣z−α∣<r で解析的であれば、
f(z)=n=0∑∞n!f(n)(α)(z−α)n
説明
数学の楽しみの一つは一般化である。テイラーの定理は、平均値の定理の一般化と見なすことができるが、今回は実数を複素数に拡張してみよう。面白いことに、段階的に拡張していくにも関わらず、証明はより単純になった。学ぶ価値を感じさせてくれる新鮮できれいな証明方法だ。
導出
まず、円 C:∣z∣=r とその内部の点 w を考えよう。コーシーの積分公式によって、
f(w)==2πi1∫Cz−wf(z)dz2πi1∫Czf(z)1−zw1dz
無限等比級数で表すと 1−zw1=n=0∑∞(zw)n であり、上記の積分に再度代入すると、
f(w)==2πi1∫Czf(z)n=0∑∞(zw)ndz2πi1n=0∑∞wn∫Czn+1f(z)dz
微分に対するコーシーの積分公式の一般化: 関数 f:A⊆C→C が単連結領域 Rで解析的だとする。
R 内の単純閉曲線 C がある点 α を囲んでいる場合、自然数 n に対して
f(n)(α)=2πin!∫C(z−α)n+1f(z)dz
再び、コーシーの積分公式によれば 2πi1∫Czn+1f(z)dz=n!f(n)(0) となるので、
f(w)=n=0∑∞n!f(n)(0)wn
今度は円 ∣z−α∣=r に一般化するために z−α=w とすると、
f(z)=f(w+α)=n=0∑∞n!f(n)(α)(z−α)n
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