不便検定力関数と最強力検定
定義 1
仮説検定: $$ \begin{align*} H_{0} :& \theta \in \Theta_{0} \\ H_{1} :& \theta \in \Theta_{0}^{c} \end{align*} $$
- 検定力関数 $\beta (\theta)$が全ての$\theta_{0} \in \Theta_{0}$と$\theta_{1} \in \Theta_{0}^{c}$に対して次を満たす場合、偏りがないunbiased検定力関数という。 $$ \beta \left( \theta_{0} \right) \le \beta \left( \theta_{1} \right) $$
- $\mathcal{C}$が上記の仮説検定を集めた集合だとする。$\mathcal{C}$内の検定力関数$\beta (\theta)$を持つ仮説検定$A$が、全ての$\theta \in \Theta_{0}^{c}$と$\mathcal{C}$の全ての仮説検定の検定力関数$\beta ' (\theta)$に対して $$ \beta ' (\theta) \le \beta (\theta) $$ を満たす場合、仮説検定$A \in \mathcal{C}$を最も強力な検定(一様に) 最も強力な検定, UMPという。
説明
偏りがない検定力関数
$$ \beta (\theta) := P_{\theta} \left( \mathbf{X} \in \mathbb{R} \right) $$ 検定力関数は、確率$P$、正確には$X$の確率分布と棄却域$R$に応じて変わるため、定義だけからは$\beta$の形を完全に思い浮かべるのは難しい。しかし、常識的に良い検定力関数が備えるべき性質は、帰無仮説よりも対立仮説の下で検定力帰無仮説を棄却する力が高くなるべきだ。$\theta_{0}$と$\theta_{1}$の選び方に関わらず、これを満たす性質を検定力関数の偏りのなさといい、このような検定力関数の関数値を比較するコンセプトは、次に紹介する最も強力な検定へと続く。
最も強力な検定
最も強い… 単なるワクワクする少年の漫画ではなく、文字通り最強の仮説検定だ。
定義のステイトメントから、検定が最も強いということは、帰無仮説が正当に棄却されるべき全ての$\theta \in \Theta_{0}^{c}$に対して、どんな検定力関数$\beta '$を考えても、最も強力な検定の検定力関数$\beta$が最も強力な検定力を持つということだ。
Casella. (2001). Statistical Inference(2nd Edition): p387~388. ↩︎