数理統計学におけるコーシー-シュワルツの不等式の証明
📂レンマ数理統計学におけるコーシー-シュワルツの不等式の証明
定理
確率変数についてX,Yが成立する。
Cov(X,Y)≤VarXVarY
等号が成立する必要十分条件は以下の通りだ。
∃a=0,b∈R:aX+b=Y
証明
X,Yの平均をそれぞれμX、μYとしよう。
h(t):===E([(X−μX)t+(Y−μY)]2)t2E[(X−μX)2]+2tE[(X−μX)(Y−μY)]+[(Y−μY)2]VarXt2+2Cov(X,Y)t+VarY
解の公式の根判定法によると、hの根が最大でも一つだけ存在するためには、以下が成立しなければならない。
(2Cov(X,y))2−4VarX⋅VarY≤0
これを整理すると、以下のコーシー・シュワルツの不等式を得る。
Cov(X,Y)≤VarXVarY
等号が成立するためにはh(t)=0でなければならず、a:=−tとb:=μXt+μYを設定した場合、以下と等価である。
⟺⟺P([(X−μX)t+(Y−μY)]2=0)=1P((X−μX)t+(Y−μY)=0)=1P(Y=aX+b)=1
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説明
一見、分散Varと共分散Covが登場するため、一般的に知られているコーシー・シュワルツの不等式と異なるように見えるが、詳しく調べるとコーシー・シュワルツの不等式と呼ばない理由が全くない。数理統計学での応用を考えた場合、不等式自体だけでなく、等号が成立する必要十分条件
∃a=0,b∈R:aX+b=Y
が非常に便利に使われる。