複素解析におけるリウビルの定理の証明
📂複素解析複素解析におけるリウビルの定理の証明
定理
関数 f f:C→Cが全てのz∈Cに対して∣f(z)∣≤Mを満たす正の数Mが存在する場合、fは定数関数である。
解説
fが全解析関数であるとは、複素平面全体で解析的であるという意味だ。対偶命題として言うならば、定数関数でない場合その絶対値が有界boundedにならないということだ。例えばsinは定義域が実数集合の場合、−1と1により明らかに有界だが、複素解析では
∣sini∣=∣isinh1∣=sinh1>1
により有界ではないことが分かる。
証明
Cを半径がrで中心がαの円∣z−α∣=rとする。fは全解析関数なので、全ての点z=αでの微分係数f′(α)を考えることができる。
コーシーの積分公式: f(n)(α)=2πin!∫C(z−α)n+1f(z)dz
微分に関する一般化されたコーシーの積分公式からn=1ならば
∣f′(α)∣=2π1∫C(z−α)2f(z)dz
ML補題: ∣f(z)∣≤Mを満たす正の数MとCの長さLについて
∫Cf(z)dz≤ML
∣f(z)∣≤Mであるから(z−α)2f(z)≤r2Mであり、円∣z−α∣=rの周囲が2πrであるため、ML補題を用いると
∣f′(α)∣=2π1∫C(z−α)2f(z)dz≤2π1(r2M)2πr=rM
この不等式はどのr>0に対しても成り立ち、故に∣f′(α)∣=0、すなわちf′(α)=0である。全ての点z=αでf′(α)=0であるから、fは定数関数である。
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参照