野球における長打率の定義
定義 1 2
- 打者がヒットで獲得した塁の総数を総塁打total Basesと言い、TBと略す。
- 総塁打 TBを打数 ABで割った比率を長打率slugging Percentageと呼び、SLGと略す。つまり、長打率は、ヒットによる総塁打 $H_{k}$とホームラン HRに関して次のように定義される。 $$ SLG := {{ H_{1} + 2 H_{2} + 3 H_{3} + 4 HR } \over { AB }} $$
説明
野球をあまり知らない人にとって、打率は理解しやすいかもしれないが、野球の知識がないと、その数字がどんな意味を持っているのか理解しにくい。実際の計算式を見ても、野球ファンであれば何もおかしな点はない。二塁打は一塁を二回踏むから一塁打より二倍の価値があるという理論が直感的に分かるが、馴染みがない人にはかなり複雑な式に見えることがある。
長打力の意味を非常にシンプルに言うと、‘主にバットから出る攻撃力’と言える。野球は目でも足でも点が入るが、特に打撃で作り出される攻撃力を数値化したものと考えると理解しやすい。バット、目、足の区別が難しいなら、ただのゲームの中のパワーstrみたいなステータスと思えばいい。
セイバーメトリクス
式から分かるように、長打率は0から4の間に位置するスタットである。例えばある選手が1安打1ホームランを打った場合、その時の長打率は4である。このような状況は極めて少ないサンプルサイズでのみ起こるが、打席が積もり、記録が安定すると1を超えることはほとんどない。このスケールのために、数値の大きさと意味がうまく合わないことがあるが、高ければ高いほどよいと考えても問題ない。
ある意味でホームランは4塁打と考えることができるので、数式的には次のように表すことができる。 $$ SLG = {{ 1 } \over { AB }} \sum_{k=1}^{4} k H_{k} $$ この観点から長打率は、既存の打率がすべての安打の価値を均等に評価してしまった問題を、実際の進塁に応じた重みを付けて修正したものと考えることができる。
この長打率を計算する文脈では、二塁打一本は一塁打二本より価値がある。両方の場合で分子は2が加算されるが、一塁打二本は打数が一つ多くなるためである。 $$ 2 = {{ 2 \cdot 1 } \over { 1 }} > {{ 1 \cdot 2 } \over { 2 }} = 1 $$ これは、単に安打を打つだけではなく、長打で力強く攻撃することが重要であるという点が反映されている。