線形、同次、自律確率微分方程式
定義 1
確率空間 $( \Omega , \mathcal{F} , P)$ と フィルタレーション $\left\{ \mathcal{F}_{t} \right\}_{t \ge 0}$ が与えられているとしよう。2つの関数 $f$, $g$ と $\mathcal{F}_{t}$-適応された $m$次元 ウィーナープロセス $W_{t}$ に関して、次のような $n$次元 確率微分方程式を考える。 $$ \begin{align*} d X_{t} =& f \left( t, X_{t} \right) dt + g \left( t, X_{t} \right) d W_{t} \\ f =& a(t) + A(t) X_{t} \\ g =& b(t) + B(t) X_{t} \\ a, b &: [0,T] \to \mathbb{R}^{n} \\ A, B &: [0,T] \to \mathbb{R}^{n \times m} \end{align*} $$
- $f, g$ と表されるSDEは 線形linearと言われる。 $$ d X_{t} = \left( a(t) + A(t) X_{t} \right) dt + \left( b(t) + B(t) X_{t} \right) dW_{t} $$
- $a(t) = b(t) = 0$ のSDEは 同次homogeneousと言う。 $$ d X_{t} = X_{t} \left[ A(t) dt + B(t) d W_{t} \right] $$
- $B(t) = 0$ のSDEは 狭義の線形linear in the Narrow Senseと称される。 $$ d X_{t} = a(t) dt + A(t) X_{t} dt + b(t) d W_{t} $$
- $a,A,b,B$ が時間 $t$ に独立している場合、自律線形autonomous Linearと言われる。 $$ d X_{t} = \left( a + A X_{t} \right) dt + \left( b + B X_{t} \right) d W_{t} $$
例
これらはSDEの中でも比較的簡単な部類であり、その解は広く知られている。
同次SDE
最も有名な例は、ジオメトリック・ブラウニアン・モーション(GBM, Geometric Brownian Motion)を定義する次のSDEである。 $$ d X_{t} = \mu X_{t} dt + \sigma X_{t} d W_{t} $$
狭義の線形SDE
以下は、オルンスティン・ウーレンベック方程式あるいはランジュバン方程式として知られている。
$$ d X_{t} = \mu X_{t} dt + \sigma d W_{t} $$
Panik. (2017). Stochastic Differential Equations: An Introduction with Applications in Population Dynamics Modeling: p136~138. ↩︎