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複素関数の積分 📂複素解析

複素関数の積分

定義 1

$$ g(t) := p(t) + i q(t) \qquad , t \in [a,b] $$

実関数 $p, q : [a,b] \to \mathbb{R}$ に対し、複素関数 $g : [a,b] \to \mathbb{C}$ が上記のように示されるとする。区間 $[a,b]$ から $g$ までの定積分は次のように定義される。 $$ \int_{a}^{b} g(t) dt = \int_{a}^{b} p(t) dt + i \int_{a}^{b} q(t) dt $$ $t \in [a,b]$ に対して、パス $\mathscr{C} : z(t) = x(t) + i y(t)$ に沿った複素路線積分を次のように定義する。 $$ \int_{\mathscr{C}} f(z) dz = \int_{a}^{b} f \left( z(t) \right) z’(t) dt $$

説明

アークarc、あるいはカーブcurve $\mathscr{C} : z(t)$ の定義は、幾何学では重要かもしれないが、複素解析自体ではそこまで正確にする必要はないので、少し無視して進もう。以下の説明にこだわるよりは、微分幾何等でカーブをしっかり学ぶか、とりあえず目の前の $\mathscr{C}$ については直感的な概念だけを受け入れて進んでも十分だ。

  • $\mathscr{C}$ に重なる部分がない場合、つまり次を満たす場合、シンプルsimple あるいは ジョルダンjordanという。 $$ z \left( t_{1} \right) = z \left( t_{2} \right) \implies t_{1} = t_{2} \qquad , \forall t_{1}, t_{2} \in [a,b] $$

  • どこでも微分可能で、微分係数が $0$ でない場合、つまり次を満たす場合、スムースsmoothという。 $$ \exists z’(t) \ne 0 \qquad , \forall t \in [a,b] $$

  • 有限個の(シンプルな)スムースなアークの端と端を繋いだものを(シンプルな)コントゥアcontourという。コントゥアを翻訳すると等高線となるが、意味がうまく伝わらないこともあり、複素解析の文脈ではほとんどがコントゥアを反時計回りanticlockwiseに沿って積分する場合に使われるため、$\mathscr{C}$ をパスとして簡化することもできる。

  • $a \to b$ の方向に進む場合は $\mathscr{C}$ ならば、$b \to a$ の方向に進む場合は $-\mathscr{C}$ と表される。パラメーターによると、$\mathscr{C} : z(t) , a \le t \le b$ の時は次のようになる。 $$ -\mathscr{C} : z(-t) , -b \le t \le -a $$

  • 正確に両端の位置が同じだけなら、つまり $z(a) = z(b)$ は 閉じたコントゥアclosed Contourという。

もう一度強調する。この説明が優れた数学者には気に入らないかもしれないが、スキップして進もう。以下の性質を直感的に受け入れられるかが遥かに重要だ。

基本性質

$f,g$ が $\mathscr{C}$ で区分的に連続であるとする。

  • [1]: すべての $\alpha , \beta \in \mathbb{C}$ において $$ \int_{\mathscr{C}} \left( \alpha f(z) + \beta g(z) \right) dz = \alpha \int_{\mathscr{C}} f(z) dz + \beta \int_{\mathscr{C}} g(z) dz $$
  • [2]: $\mathscr{C}$ の方向が $a \to b \to c$ であり、$a \to b$ の方向の $\mathscr{C}_{1}$ と $b \to c$ の方向の $\mathscr{C}_{2}$ から成る場合 $$ \int_{\mathscr{C}} f(z) dz = \int_{\mathscr{C}_{1}} f(z) dz + \int_{\mathscr{C}_{2}} f(z) dz $$
  • $$ \int_{ - \mathscr{C}} f(z) dz = - \int_{\mathscr{C}} f(z) dz $$

  1. Osborne (1999). 複素変数 その応用: p69~71. ↩︎