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対数関数の定義 📂関数

対数関数の定義

定義

指数関数逆関数をログ関数$\log : (0,\infty) \to \mathbb{R}$と定義する。すべての$x \in (0,\infty)$に対して$x = e^y$ならば、ログ関数は次のように表される。 $$ \log x := y $$

説明

ログは単純な定義にもかかわらず、数学全般で非常に多くの意味を持つ。baseは正の値であれば何でも構わないが、通常は上記の定義のようにオイラー定数$e$を用いる方が一般的だ。教育課程や工学では底が$10$の常用対数$\log_{10}$と区別するために自然対数$\ln$として表されるが、自然科学に近づくほど区別なく単に$\log$と書かれる。

整数論

解析的整数論では、ログそれ自体がメンゴルト関数の級数であり、算術関数の微分を形式的に定義するときにも登場する。

情報理論

コンピュータ工学や情報理論では、単位としてビットbitが多用されるため、ログの底も主に$2$であり、自然科学の文献とは異なり当然のように$\log = \log_{2}$が使用される。特に情報理論では、「情報」という概念が満たすべき様々な条件を満たす関数として注目される。

複素関数への拡張 1

ビルドアップ

指数関数歴史上をログ$\log_{\mathbb{C}} : \mathbb{C} \setminus \left\{ 0 \right\} \to \mathbb{C}$としよう。すべての$z \in \mathbb{C} \setminus \left\{ 0 \right\}$に対して$z = e^w$ならば、ログ$\log_{\mathbb{C}}$は実数で定義されたログ$\log_{\mathbb{R}}$と比較して次のように表すことができる。 $$ \log_{\mathbb{C}} z := w(z) $$ ただし、これは$z = r e^{i \theta}$の偏角$\arg z = \theta$に応じて無限に多くの値に対応するため、厳密には関数ではない。極座標表記で表してみると$w := u + iv$に対して $$ z = e^{w} \implies r \left( \cos \theta + i \sin \theta \right) = e^{u} \left( \cos v + i \sin v \right) $$ 実部と虚部を別々に考えると $$ r = e^{u} \\ \sin \theta = \sin v $$ したがって$k \in \mathbb{Z}$に対して $$ u = \log_{\mathbb{R}} r \\ v = \theta + 2 k \pi $$ まとめると $$ \log_{\mathbb{C}} z = \log_{\mathbb{R}} |z| + i \left( \arg z + 2 k \pi \right) $$ 前述したように、$\log_{\mathbb{C}}$は$k \in \mathbb{Z}$だけ多くの値を持つため、関数ではない。$k$に従い、つまり一周するごとに生じる$\mathbb{C} \setminus \left\{ 0 \right\}$の部分集合をログのブランチbranchと呼ぶ。そこで特に$k=0$の場合を主ブランチprincipal Branchと呼び、次のように大文字の$L$を用いてログ関数$\text{Log}$を再定義する。

拡張

$\text{Log} : \mathbb{C} \setminus \left\{ 0 \right\} \to \mathbb{C}$を次のように定義する。 $$ \text{Log} z := \log_{\mathbb{R}} |z| + i \arg z $$

性質

  1. 定義により次が成立する。 $$ \log(xy) = \log x + \log y,\qquad \log\left(\dfrac{x}{y}\right) = \log x - \log y $$ $$ \log(x^{n}) = n \log x $$

  2. $(\log x)^{\prime \prime} = -\dfrac{1}{x^{2}}$なので凹関数である。

  3. 次の不等式が成立する。

$$ 1 - \dfrac{1}{x} \le \ln x \le x - 1\qquad \text{ for } x \gt 0 $$


  1. Osborne (1999). Complex variables and their applications: p31. ↩︎