効率的な推定量
定義 1
がパラメーターに対する不偏推定量であるとしよう。
- クラメール・ラオ下界 に対する推定量の効率efficiencyは以下のように定義される:
- 効率がの推定量を効率的推定量efficient estimatorと呼ぶ。
説明
上記の不等式により、効率がを超えることは明らかに不可能である。
推定量が効率的であるというのは直感に完全に合っていて、実際の分散がクラメール・ラオ下界と等しいということは、その理論的な分散が可能な限り最小であることを意味している―パラメーターを指し示すための推定量が、可能な限り狭い範囲でを指し示すということである。
最良不偏推定量との違い
一見すると、最良不偏推定量と似ているように見えるが、効率的推定量はその分散が正確にクラメール・ラオ下界まで低下しており、理論上さらに良い不偏推定量であり、最良不偏推定量は理論的な限界までではないが、他のすべての不偏推定量を圧倒するだけで良い。最良であることが必ずしも効率がになることを保証するわけではなく、分散を理論的な下限まで最小化できなくても、最良不偏推定量であることに全く問題はない。
効率的推定量は最良不偏推定量であるが、その逆が成り立つとは限らない。
Hogg et al. (2013). Introduction to Mathematical Statistcs(7th Edition): p338. ↩︎