ポアンカレ写像
定義 1
ユークリッド空間 $\mathbb{R}^{n}$ と オープンセット $U \subset \mathbb{R}^{n}$ において 連続 な 関数 $f : U \to \mathbb{R}^{n}$ に対して、次のような ベクトル場 が 微分方程式 で与えられているとする。 $$ \dot{x} = f(x) $$ その フロー を $\phi_t \left( \cdot \right)$ として表し、ベクトル場を横切る $\left( n-1 \right)$ 次元の 曲面 $\Sigma$ を考えよう。オープンセット $V \subset \Sigma$ に対して次のような マップ $P$ を ポアンカレ・マップPoincaré map と呼ぶ。 $$ \begin{align*} P : V &\to \Sigma \\ x &\mapsto \phi_{\tau (x)} (x) \end{align*} $$ ここで $\tau (x)$ は $x$ から出発して再び $\Sigma$ に戻る時間を意味する。
- $\Sigma$ のすべての点で $f(x) \cdot n (x) \ne 0$ なら $\Sigma$ はベクトル場を横切るtransverseという。
説明
$P$ により $\Sigma$ 上でそのフロー $\phi$ はその中間過程を省略し、 $\Sigma$ を漂うこととなる。
デンマでは遠距離攻撃を防ぐ平面拘束2に似たイメージだ。ポアンカレ・マップはベクトル場で表現されたシステムを $\Sigma$ に次元を一つ下げたマップだ。 次元が一つ減少するので失われる情報も多いが、全体的な様相に興味があるならどんな問題でも使う価値がある。
参考
- 固定点の双曲性 の定義を利用して リミットサイクルの双曲性 を定義するとき、ポアンカレ・マップが使われる。
Wiggins. (2003). Introduction to Applied Nonlinear Dynamical Systems and Chaos Second Edition(2nd Edition): p123. ↩︎
https://comic.naver.com/webtoon/detail.nhn?titleId=119874&no=119 ↩︎