積分判定法
📂微分積分学積分判定法
ビルドアップ
n=1∑∞n21=1+221+321+421+⋯
このような級数が収束するか発散するかを知りたい状況だとしよう。そのためにn21=f(n)を満たす関数を考えよう。
f(x)=x21
関数f(x)のグラフとともに、区間の長さを1として右端点の関数値を高さに持つ長方形を描いてみよう。

すると、各長方形の面積の合計は求めたい級数の合計と同じになる。
n=1∑∞n21=1+41+91+161+⋯
しかし、図を見ればわかるように、f(x)が減少関数であり、f(x)>0であるため、長方形は常にf(x)のグラフの下に描かれる。つまり、長方形の面積の合計は関数f(x)の積分より大きくなることはない。したがって、次の不等式を得られる。
n=1∑∞n21=1+41+91+161+⋯≤1+∫1∞x21dx
つまり、積分∫1∞x21dxが収束する場合、級数n=1∑∞n21も収束する。ここから次の定理が得られる。
定理
関数fがx∈[1,∞)で連続であり、減少関数であり、f(x)>0であるとしよう。そしてan=f(n)としよう。すると、級数n=1∑∞anが収束するのは積分∫1∞f(x)dxが収束することと同値である。
∫1∞f(x)dx is convergent⟺n=1∑∞an is convergent
∫1∞f(x)dx is divergent⟺n=1∑∞an is divergent
一般化
有限の項の和は級数の収束性に影響を与えないので、自然数kについて次のように一般化できる。
∫k∞f(x)dx is convergent⟺n=k∑∞an is convergent
∫k∞f(x)dx is divergent⟺n=k∑∞an is divergent
証明
次の二つの命題を証明すれば、対偶を取ることで定理が成立することがわかる。
- 積分が収束すれば級数が収束する。
- 積分が発散すれば級数が発散する。
積分が収束すれば、級数が収束する
数列{an}と定理の条件を満たす関数f(x)が与えられたとしよう。ビルドアップのように、各区間で右端点の関数値を高さに持つ長方形を描くと以下のようになる。(fが減少関数であるため成立する。)

つまり次の式が成立する。
a2+a3+a4+⋯+an≤∫1nf(x)dx
もし積分∫1∞f(x)dxが収束すれば、f>0なので、
i=2∑nan≤∫1nf(x)dx<∫1nf(x)dx<∞
したがって、級数の部分和snについて次の不等式が成立する。
sn=a1+i=2∑nan<∫1nf(x)dx<∞
これはsnが有界であることを意味する。またsnは増加数列であるため、単調数列定理によってsnは収束する。つまり、級数n=1∑∞anは収束する。
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積分が発散すれば、級数が発散する
今度は、左端点の関数値を高さに持つ長方形を描いてみよう。

したがって、次の式が成立する。
∫1nf(x)dx≤a1+a3+a4+⋯+an+an+1=i=1∑n−1ai
⟹∫1nf(x)dx<i=1∑n−1ai
両辺にn→∞の極限を取ると、
∫1∞f(x)dx<i=1∑∞ai
積分∫1∞f(x)dxが発散するので、級数i=1∑∞aiが発散する。
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