テイラー級数とマクローリン級数
📂微分積分学テイラー級数とマクローリン級数
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与えられた関数 fを冪級数で表現するとする。
f(x)=c0+c1(x−a)+c2(x−a)2+c3(x−a)3+⋯∣x−a∣<R(1)
ここで、関数 fの冪級数表現を具体的に見つけることは、各項の係数 cnを求めることと同じだ。まず両辺に x=aを代入すると、c0を求めることができる。
f(a)=c0+c1(a−a)+c2(a−a)2+c3(a−a)3+⋯=c0
(1)を微分すると、次のようになる。
f′(x)=c1+2c2(x−a)+3c3(x−a)2+⋯∣x−a∣<R(2)
両辺にx=aを代入すると、c1を求めることができる。
f′(a)=c1
再度 (2)を微分し、x=aを代入すると、
f′′(x)=2c2+3⋅2c3(x−a)+⋯∣x−a∣<R(3)
f′′(a)=2c2
もう一度繰り返すと、
f′′′(x)=3⋅2c3+4⋅3⋅2c4(x−a)+⋯∣x−a∣<R
f′′′(a)=3⋅2c3
このように続けて、cnが次のように表現できることがわかる。
f(n)(a)=n!⋅cn⟹cn=n!f(n)(a)
したがって、(1)は次のように表現される。
f(x)=f(a)+1!f′(a)(x−a)+2!f′′(a)(x−a)2+3!f′′′(a)(x−a)3+⋯=n=0∑∞n!f(n)(a)(x−a)n
この時、右辺の級数をfのテイラー級数と定義する。
定義
無限に微分可能な関数fのaでのテイラー級数Taylor series of f at aを次のように定義する。
n=0∑∞n!f(n)(a)(x−a)n=f(a)+1!f′(a)(x−a)+2!f′′(a)(x−a)2+3!f′′′(a)(x−a)3+⋯
説明
特にa=0での級数をマクローリン級数Maclaurin seriesと呼ぶ。
もしfが冪級数で表現されるなら、fとfのテイラー級数は同じだ。しかし、fのテイラー級数が常にfと同じとは限らない。特定の条件を満たせばfとfのテイラー級数が同じであることが証明されている。
fとfのテイラー級数が異なる例
次のような関数fが与えられている。
f(x)={e−1/x20x=0x=0
級数の係数を求めるためにf′(0)を求めてみよう。
h→0limhf(0+h)−f(0)=h→0limhe−1/h2−0=h→0limh1⋅e−1/h2
ここで、数式を整理しロピタルの定理を使うと、
h→0limh1⋅e−1/h2=h→0lime1/h21/h=h→0lim−2e1/h2/h3−1/h2=h→0lim2e1/h2h=0
同じ方法でn∈Nについてf(n)=0であることを示すことができる。したがってfのマクローリン級数は次のようになる。
n=0∑∞n!f(n)(0)xn=n=0∑∞n!0xn=0
しかし、明らかにx=0についてf(x)=0ということから、fとfのマクローリン級数は同じではないことがわかる。