関数列の一様収束性と微分可能性
📂解析学関数列の一様収束性と微分可能性
定理
区間 [a,b]で微分可能な関数の数列 {fn:fn is differentiable on [a,b]}が点 x0∈[a,b]で点ごとに収束するとしよう。もし {fn′}が区間 [a,b]で一様に収束するならば、{fn}も区間 [a,b]で微分可能な関数 fに一様収束し、次が成り立つ。
f′(x)=n→∞limfn′(x)a≤x≤b
説明
定理の結果を一言で表現すれば「極限の導関数と導関数の極限が等しい」ということだ。すなわち、限界記号と微分記号の順序を入れ替えることが可能である。
dxdn→∞limfn(x)=n→∞limdxdfn(x)a≤x≤b
微分に関して関数列の一様収束を考える理由は、第一に点ごとの収束が微分可能性を保持しないからだ(反例1)。第二に、fn→fであってfが微分可能だとしても、fn′→f′が成り立たないことがあるからだ。(反例2)。
反例1
微分可能な関数の関数列 fnが fに点ごとに収束することが、fが微分可能であることを保証しない。
証明
関数 fn(x)=xnは [0,1]で微分可能だ。そして関数 fを次のように定義しよう。
f(x)={01if 0≤x<1if x=1
すると、すべての点 x∈[0,1]で fn(x)は f(x)に点ごとに収束する。しかし明らかに fは x=1で微分不可能である。
■
反例2
区間 [0,1]で fn→fであるが、
n→∞limfn′(x)=(n→∞limfn(x))′ for x=1
が成り立つある微分可能な関数 fnと fが存在する。
証明
fn(x)=nxnおよび f(x)=0としよう。すると区間 [0,1]で
xn→0 and n→∞ as n→∞
ゆえに fn→fである。しかし fn′(x)=xn−1より fn′(1)=1である。したがって
1=n→∞limfn′(1)=(n→∞limfn(1))′=0
■
証明
仮定: fn(x0)→f(x0)および fn′が一様収束する。
小さな正数 ϵ>0が与えられたとしよう。すると収束する数列とコーシー数列は同値なので、仮定により次が成り立つ正数 Nを選ぶことができる。
n,m≥N⟹∣fn(x0)−fm(x0)∣<2ϵ (1)and∣fn′(t)−fm′(t)∣<2(b−a)ϵ(a≤t≤b)(2)
そして関数 fn−fmに平均値の定理を適用すると (2)とともに次を得る。n,m≥Nかつ x,t∈[a,b]について、
∣(fn(x)−fm(x))−(fn(t)−fm(t))∣=∣x−t∣∣fn′(s)−fm′(s)∣(t≤s≤x)<∣x−t∣2(b−a)ϵ=2ϵ(b−a)∣x−t∣<2ϵ(3)
そして (1)および (3)から次の不等式が成り立つ。n,m≥Nかつ x∈[a,b]について、
∣fn(x)−fm(x)∣=fn(x)−fm(x)+[fn(x0)−fn(x0)]+[fm(x0)−fm(x0)]<∣fn(x)−fm(x)−(fn(x0)−fm(x0))∣+∣fn(x0)−fm(x0)∣<2ϵ+2ϵ=ϵ
このとき、こうした Nは xと無関係に選ばれているので、fnは区間 [0,1]で一様収束する。極限を f(x)=n→∞limfn(x) (a≤x≤b)としよう。
今、x∈[a,b]を一つ固定して、関数 ϕnおよび ϕを次のように定義しよう。
ϕn(t)=t−xfn(t)−fn(x),ϕ(t)=t−xf(t)−f(x)(x=t∈[a,b])
すると、次が成り立つ。
t→xlimϕn(t)=t→xlimt−xfn(t)−fn(x)=fn′(x)
また (3)の最初の不等式から次を得る。
∣ϕn(t)−ϕm(t)∣<2(b−a)ϵ(n,m≥N)
したがって ϕnは t=xに一様収束する。fn→fゆえに、
ϕn(t)⇉ϕ(t) or n→∞limϕn(t)=ϕ(t)(a≤t≤b,t=x)
一様収束と連続性
もし距離空間 E上で fn⇉fならば、Eの集積点 xについて次が成り立つ。
t→xlimn→∞limfn(t)=n→∞limt→xlimfn(t)
ϕn⇉ϕ on [a,b]∖{x}なので、上の定理を ϕnに適用すると次が成り立つ。
⟹⟹⟹t→xlimn→∞limϕn(t)t→xlimϕ(t)t→xlimt−xf(t)−f(x)f′(x)=n→∞limt→xlimϕn(t)=n→∞limfn′(x)=n→∞limfn′(x)=n→∞limfn′(x)
■