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双曲関数の表記法と命名の由来 📂関数

双曲関数の表記法と命名の由来

定義

二つの 指数関数線形結合 $\frac{1}{2}e^{x} - \frac{1}{2}e^{-x}$ を 双曲線正弦関数hyperbolic sine function として、次のように表記する。

$$ \sinh x := \dfrac{e^{x} - e^{-x}}{2} $$

同様に $\frac{1}{2}e^{x} + \frac{1}{2}e^{-x}$ を 双曲線余弦関数hyperbolic cosine function として、次のように表記する。

$$ \cosh x := \dfrac{e^{x} + e^{-x}}{2} $$

説明

$\sinh$ と $\cosh$ の名前と表記法は「双曲」 + 「サイン(コサイン)」で構成されている。定義だけではこれらの名前がなぜこのように付けられたのか分かりにくい。なぜ双曲線で、なぜ三角関数なのかを見てみよう。

なぜ双曲線関数か?

結論から言うと、双曲線関数の名前は 双曲線 から取られた。2次元平面上の二つの点 $x$ と $y$ を $\cosh$ と $\sinh$ で表す。

$$ x(t) = \cosh t \\[1em] y(t) = \sinh t $$

すると、点 $(x, y)$ の描く軌跡がまさに双曲線になる。 $$ \begin{align*} x^{2} - y^{2} = \cosh^{2} t - \sinh^{2} t &= \left( \dfrac{e^{x} + e^{-x}}{2} \right)^{2} - \left( \dfrac{e^{x} - e^{-x}}{2} \right)^{2}\\ &= \dfrac{e^{2x} + 2 + e^{-2x}}{4} - \dfrac{e^{2x} - 2 + e^{-2x}}{4} = 1 \end{align*} $$

ちょうど円上の点が 媒介変数方程式 $x(t) = \cos t$ と $y(t) = \sin t$ で表されるのと同じである。

なぜサイン(コサイン)関数か?

なぜ名前がサイン(コサイン)なのかは、定義域を 複素数 まで拡張してみるとわかる。双曲線関数と三角関数の間には次のような関係式が成立する。

$$ \sinh(ix) = i \sin x \\[1em] \cosh(ix) = \cos x $$

上の式を見ると、双曲線関数と三角関数が互いに関連していることがわかる。このような関係のため、二つの関数 $\dfrac{e^{x} - e^{-x}}{2}$ と $\dfrac{e^{ix} + e^{-ix}}{2}$ に $\sin$ と $\cos$ の名前が付けられたのである。

参考