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超関数によって厳密に定義されるディラックのデルタ関数 📂シュワルツ超函数

超関数によって厳密に定義されるディラックのデルタ関数

定義1

テスト関数空間 $\mathcal{D}(\mathbb{R}^{n})$の汎関数 $\delta_{a} : \mathcal{D} \to \mathbb{C}$を下記のように定義し、ディラックデルタ関数と呼ぼう。

$$ \delta_{a}(\phi):=\phi (a) $$

すると、ディラックデルタ関数は超関数になる。 $a=0$の時、下記のように簡単に示せる。

$$ \delta=\delta_{0} $$

説明

発散する値を持っており、関数ではないけれども大雑把に関数として扱われていたディラックデルタ関数が、上の定義によって厳密に定義された。

$$ \delta_{a} (\phi) = \int \delta (x-a)\phi (x)dx=\phi (a) $$

ただし、局所積分可能関数に定義されないため正則超関数ではない。既存のディラックデルタ関数との混同を避けるため、超関数としてのデルタ関数はデルタ超関数と呼ぶことにする。

証明

  • Part 1. 線形性

    $\alpha, \beta \in \mathbb{C}$、$\phi, \psi \in \mathcal{D}$に対して、

    $$ \begin{align*} \delta_{a}(\alpha \phi + \beta \psi) &= (\alpha \phi+\beta\psi)(a) \\ &=\alpha \psi (a) +\beta \psi (a) \\ &= \alpha\delta_{a}+\beta \delta (a) \end{align*} $$ であるため、デルタ超関数は線形である。

  • Part 2. 連続性

    $\phi_{j} \to \phi \text{ in } \mathcal{D}$と仮定しよう。すると、次が成立する。

    $$ \begin{align*} \left| \delta_{a}(\phi _{j}) -\delta_{a}(\phi) \right| &= \left| \phi_{j}(a)-\phi (a)\right| \end{align*} $$

    $\phi_{j} \to \phi \text{ in } \mathcal{D}$の時、$\lim \limits_{j \to \infty}\left| \phi_{j}(a)-\phi (a) \right|=0$で、従って$\delta_{a}(\phi_{j}) \to \delta_{a}(\phi)$である。

$\delta_{a}$が線形であり連続であるため、超関数である。


  1. Gerald B. Folland, Fourier Analysis and Its Applications (1992), p307 ↩︎