コーシーの冪根判定法
📂微分積分学コーシーの冪根判定法
まとめ
級数級数 n=0∑∞anについて、n→∞limn∣an∣=Lとしよう。
(a) もしL<1ならば、級数は絶対収束する。
(b) もしL>1やL=∞ならば、級数は発散する。
(c) もしL=1ならば、判別できない。
説明
もしL=1ならば判別できないから、級数が収束するか発散するかを判定するために他の判定法を使わなければならない。定理の言明は非判定法と類似している。
(c)
もしL=1ならば収束する場合もあるし、発散する場合もある。級数∑n21を見ると、
n→∞limnn21=n→∞limn−2/n=n→∞lim(eln(n−2/n))=n→∞lim(e(−2/n)ln(n))=en→∞lim(−2/n)lnn
最後の等号は指数関数が連続関数なので成り立つ。ロピタルの定理によって、
n→∞lim(−2/n)lnn=−2n→∞limnlnn=−2n→∞limn1=0
だから、L=1だ。級数はp=2を満たすp−級数なので収束する。
一方で級数∑(nn+1)nを考えると、
n→∞limn(nn+1)n=n→∞limnn+1=1
だからL=1だが、n→∞lim(nn+1)n=n→∞lim(1+n1)n=eだから発散判定法によって級数は発散する。この二つの例によってL=1の場合には級数の収束性を判別できないことが分かる。
証明
(a)
証明のアイデアは収束する幾何級数と比較することだ。L<1なので、L<r<1を満たす正の数rが存在する。すると、n→∞limn∣an∣=Lなので、十分大きなNに対して次が成り立つ。
n∣an∣<r,for all n≥N
もう一度書くと、
∣an∣<rn,for all n≥N
ところで級数n=N∑∞rnは幾何級数であり、∣r∣<1なので収束する。したがって比較判定法によってn=N∑∞∣an∣も収束する。つまり∑anは絶対収束する。(前の有限項は級数の収束に影響を与えない)
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(b)
もしL>1やL=∞ならば、十分大きなNに対して次が成り立つ。
n∣an∣>1,for all n≥N
⟹∣an∣>1,for all n≥N
だからn→∞liman=0なので、発散判定法によって∑anは発散する。
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