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リャプノフ関数 📂動力学

リャプノフ関数

定義1

空間$X$と関数$f : X \to X$について、次のようなベクトル場微分方程式として与えられているとしよう。 $$ \dot{x} = f(x) $$ このような自己組織系の一点$x_{0} \in X$が与えられたとき、$x_{0}$の近傍$\mathcal{N} \left( x_{0} \right)$で定義されたスカラー関数$V \in C^{1} \left( \mathcal{N} (x_{0}) , \mathbb{R} \right)$が、次の条件を満たす場合、それを リアプノフ関数Liapunov functionと言う。

  • (i): $V(x_{0}) = 0$であり、$x \ne x_{0}$ならば$V(x) > 0$である。
  • (ii): $x \in \mathcal{N} \left( x_{0} \right) \setminus \left\{ x_{0} \right\}$から$V ' (x) \le 0$が導かれる。

  • $C^{1}(A,B)$は、定義域が$A$であり、値域が$B$で、微分可能でその導関数が連続である関数の集合を意味する。
  • $V$が$C^{1} \left( \mathcal{N} (x_{0}) , \mathbb{R} \right)$に属するとは、$x_{0}$の近傍で定義されたスカラー関数であり、微分可能であり、$v '$が連続であるという意味である。

説明

リアプノフ関数は、与えられたシステム$\dot{x} = f(x)$に依存する可能性がある関数であり、特に$X = \mathbb{R}^{n}$の時に固定点$x_{0} = \overline{x}$の安定性を確認するために考慮される。リアプノフ関数の存在は安定性を意味し、$V$はシステム$f$に応じて適切に定義されるべき関数である。$v '$は時間$t$に関する微分であり、$V$を微分したときに$\dot{x}$に関連する項が現れることで、$f$との関係が明らかになる。

この説明によると、リアプノフ関数が非線形システムを理解するための万能ツールのように思えるかもしれないが、非線形システムがそもそも難しいため、このリアプノフ関数を見つけることはそれほど簡単ではない。リアプノフ関数を見つける一般的な方法はなく、重要なシステムに対しても、リアプノフ関数を見つけること自体が研究テーマになり得るほど難しいものである。

リアプノフ関数を見つける非常に簡単な過程を見てみよう: $$ \begin{align*} \dot{x} =& -x + 4y \\ \dot{y} =& -x - y^{3} \end{align*} $$ このシステムには固定点$(0,0)$が与えられている。言及したように、リアプノフ関数を見つける一般的な方法はないので、直感を頼りにするしかない。リアプノフ関数を見つけることに慣れてくれば、その関数を見つけることも早くなるだろう。ここでは、$V(x,y) = x^{2} + a y^{2}$がリアプノフ関数になると仮定し、$a \ge 0$の値を特定する方法で探してみる。


Part (i).

$V(0,0) = 0$であり、そして$(x,y) \ne (0,0)$ならば$V(x,y) > 0$である。$(0,0)$で$V = 0$であり、$a$が負でないと仮定すると$V > 0$である。


Part (ii).

$(x,y) \in \mathcal{N} \left( (0,0) \right) \setminus \left\{ (0,0) \right\}$から$V ' (x,y) \le 0$が導かれる。$V$を$t$で微分すると $$ \begin{align*} {{ d V } \over { d t }} =& 2xx’ + 2ay\dot{y} \\ =& 2x(-x+4y) + 2ay \left( -x-y^{3} \right) \\ =& -2x^{2} + (8-2a)xy - 2ay^{2} \end{align*} $$ ここで、$a=4$ならば$V ' <0$である。

したがって、固定点$(0,0)$が与えられている場合、リアプノフ関数は$V(x,y) = x^{2} + 4 y^{2}$として存在することが保証され、それにより$(0,0)$がリアプノフ安定性を持つことも分かる。


  1. Strogatz. (2015). 非線形動力学とカオス: 物理、生物学、化学、工学への応用(第2版): p201. ↩︎