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距離空間における集合の直径 📂距離空間

距離空間における集合の直径

定義1

$E$を、距離空間 $(X,d)$の部分集合だとしよう。そして、$S$を以下のようにしよう。

$$ S=\left\{ d(p, q) : \forall p, q \in E\right\} $$

そうすると、$S$の最小上界 $\sup S$を$E$の直径と呼んで、$\operatorname{diam} E$で表記する。

説明

$\left\{ p_{n} \right\}$が距離空間 $X$での数列、$E_{N}=\left\{ p_{N},p_{N+1},p_{N+2},\cdots \right\}$だとしよう。そうすると、コーシー数列と直径の定義により、$\left\{ p_{n} \right\}$がコーシー数列であることは $$ \lim \limits_{N\to\infty} \operatorname{diam} E_{N}=0 $$ であることと同値だ。

定理

(a) $E$が距離空間 $X$の部分集合だとしよう。そしたら、以下が成立する。

$$ \operatorname{diam} \overline{E} = \operatorname{diam} E $$

この時、$\overline{E}$は$E$の閉包closureだ。

(b) $\left\{ K_{n} \right\}$が距離空間でのコンパクト集合の数列だとしよう。$K_{n}\supset K_{n+1}$であり、

$$ \begin{equation} \lim \limits_{n\to\infty} \operatorname{diam}K_{n}=0 \end{equation} $$

であれば、$\bigcap _{n=1}^{\infty}K_{n}$は正確に一点だけを持つ。

証明

(a)

$E \subset \overline{E}$であるから、以下の成立は自明だ。

$$ \operatorname{diam} E \le \operatorname{diam} \overline{E} $$

任意の正の数$\varepsilon >0$が与えられたとしよう。そして、二つの点$p, q\in \overline{E}$を選ぼう。閉包と極限点の定義により、

$$ d(p,p^{\prime}) \lt \varepsilon \quad \text{and} \quad d(q, q^{\prime}) \lt \varepsilon $$

を満たす$p^{\prime}, q^{\prime} \in E$が存在する。したがって、以下が成立する。

$$ \begin{align*} d(p, q) &\le d(p,p^{\prime}) +d(p^{\prime}, q^{\prime})+d(q^{\prime}, q) \\ &\le 2\varepsilon + d(p^{\prime}, q^{\prime}) \\ &\le 2\varepsilon + \operatorname{diam} E \end{align*} $$

これは任意の$p, q \in \overline{E}$に対して成立するので、以下が成立する。

$$ \operatorname{diam} \overline{E} \le 2\varepsilon + \operatorname{diam} E $$

この時、$\varepsilon$は任意の正の数であるから、下記の式が成立する。

$$ \operatorname{diam} \overline{E} \le \operatorname{diam} E $$

従って、$\operatorname{diam} \overline{E}=\operatorname{diam} E$である。

(b)

$K=\bigcap _{n=1}^{\infty}K_{n}$としよう。すると、$K$は空集合ではない。もし$K$が二つ以上の点を持っていたら、$\operatorname{diam} K >0$になる。しかし、各$n$に対して$K_{n} \supset K$であるから、以下が成立する。

$$ \operatorname{diam} K_{n} \ge \operatorname{diam} K $$

これは$(1)$に対して矛盾なので、$K$が二つ以上の点を持つという事実は間違っている。従って、$K$は空ではなく、かつ、二つ以上の点は持たないので、正確に一点だけを持つ。


  1. Walter Rudin, Principles of Mathmatical Analysis (3rd Edition, 1976), p52-53 ↩︎