logo

自律システムのオービットとリミットサイクル 📂動力学

自律システムのオービットとリミットサイクル

定義

空間$X$と関数$f : X \to X$について、以下のようにベクトル場微分方程式で与えられているとする。 $$ \dot{x} = f(x) $$ 初期時刻$t_{0}$と初期点$x_{0}$に対するこの自律系フローを$x(t,t_{0},x_{0})$のように表すとする。

  1. そうすると、$x_{0} \in X$を通る軌道orbit$O(x_{0})$は次のように表される[^1]。 $$ O(x_{0}) := \left\{ x \in X : x = x(t, t_{0} , x_{0}) \right\} $$ もちろん、全ての時点$T \in I$において$O\left( x (T , t_{0} , x_{0}) \right) = O (x_{0})$が成り立つ。
  2. 軌道が全ての$t \in \mathbb{R}$に対して以下を満たし$T > 0$が存在する場合、$T$-周期的といい、その軌道を周期軌道という。 $$ x(t,t_0) = x(t + T,t_0) $$
  3. 不動点一つだけを含む単元素集合でない周期軌道をサイクルという。
  4. 近傍に他のサイクルが存在しないサイクルをリミットサイクルという[^3]。

参照1

例として、以下のような単純な自律系を考えてみよう: $$ \dot{x} = -y \\ \dot{y} = x $$ この微分方程式のソリューションは時間$t$に対して $$ (x,y) = \left( \cos t , \sin t \right) $$ のように表せるので、初期値が$p_{0} = (1,0)$であれば、そのフローは半径$1$の円を回る形になるだろう。したがって、$p_{0}$を通る軌道は次のように表せる。 $$ O(p_{0}) := \left\{ (x,y) \in \mathbb{R}^{2} : x^{2} + y^{2} = 1 \right\} $$ 特に、この軌道はフローが同じ点を通るため、$2 \pi$-周期的でもある。

参照2[^2]: Wiggins. (2003). Introduction to Applied Nonlinear Dynamical Systems and Chaos Second Edition(2nd Edition): p71.