エルミート微分方程式と級数解
📂微分方程式エルミート微分方程式と級数解
定義
以下の微分方程式をエルミートHermite 微分方程式と言う。
y′′−2xy′+2ny=0,n=0,1,2,⋯
エルミート微分方程式の解をエルミート多項式Hermite polynomialと呼び、よくHn(x)と表記される。
H0(x)H1(x)H2(x)H3(x)H4(x)H5(x)⋮=1=2x=4x2−2=8x3−12x=16x4−48x2+12=32x5−160x3+120x
説明
Hermiteはフランス人だから、[エルミート]と読むのが正しい。英語で読むと[ハーミット]、[ハーマイト]くらいになる。
上記の形は具体的に物理学者のエルミート関数と呼ばれ、別の表現として確率論者のエルミート関数がある。
係数に独立変数xが含まれる形式であり、解がべき級数の形を仮定すると、解ける。チェビシェフ方程式の解をチェビシェフ多項式と呼び、よくTn(x)と表記される。
解法
y′′−2xy′+2λy=0
与えられたエルミート微分方程式の解を以下のような級数と仮定する。
y=n=0∑∞anxn
級数解として仮定して解法を始めるが、解法の最後でyの項が有限であることがわかる。微分方程式に代入するためy′,y′′を求めると、それぞれ以下のようになる。
y′=y′′= n=1∑∞nanxn−1 n=2∑∞n(n−1)anxn−2
これを微分方程式に代入すると、以下のようになる。
n=2∑∞n(n−1)anxn−2−2n=1∑∞nanxn+2λn=0∑∞anxn=0
xの次数を合わせるため、最初の級数のインデックスを変えると
n=0∑∞(n+2)(n+1)an+2xn−2n=1∑∞nanxn+2λn=0∑∞anxn=0
n=0の項を外に出して級数を1つにまとめると、以下のようになる。
2a2+2λa0+n=1∑∞[(n+2)(n+1)an+2−2nan+2λan]xn=0
上記の式が成り立つためには、全ての項の係数が0でなければならないので、以下の2つの条件を得る。
2a2+2λa0=(n+2)(n+1)an+2−2nan+2λan= 0 0
しかし、下の式でn=0を代入すると、上記の式を得ることができるので、実質的に1つの条件である。an+2について整理すると、以下のような再帰式を得る。
an+2=(n+2)(n+1)2(n−λ)an
この再帰式から、n=2以上の場合は、a0またはa1と表されることがわかる。まず、偶数のnについて求めると、以下のようになる。
a2=a4=a6=⋮a2n= 2⋅12(−λ)a0 4⋅32(2−λ)a2=4!22(2−λ)(−λ)a0 6⋅52(4−λ)a4=6!23(4−λ)(2−λ)(−λ)a0 (2n)!2n(2n−2−λ)(2n−4−λ)⋯(2−λ)(−λ)a0
奇数について求めると
a3=a5=a7=⋮a2n+1= 3⋅22(1−λ)a1 5⋅42(3−λ)a3=5!22(3−λ)(1−λ)a1 7⋅62(5−λ)a5=7!23(5−λ)(3−λ)(1−λ)a1 (2n+1)!2n(2n−1−λ)(2n−3−λ)⋯(3−λ)(1−λ)a1
上記の結果により、級数解を大きく2つの部分に分けることができる。
y=== n=0∑∞anxn [a0+a2x2+a4x4+⋯]+[a1x+a3x3+a5x5+⋯] a0[1−λx2+3!(2−λ)(−λ)x4+⋯]+a1[x+31−λx3+5!22(3−λ)(1−λ)x5+⋯]
しかし、ここでλが非負の整数であれば、2つの部分のうちの1つは有限の項だけが残る。例えば、λ=4であれば、(1)でわかるように、a6=a8=⋯=a2n=0である。したがって、微分方程式の定数λが非負の整数であるとき、発散しない解を得ることができる。各λに応じた解をHλと表記すると
H0(x)=H1(x)=H2(x)=H3(x)=H4(x)=H5(x)=⋮ a0 a1x a0(1−2x2) a1(x−32x3) a0(1−4x2+34x4) a1(x+−34x3+154x5)
今、Hn(x)の最高次項xnの係数が2nになるようにa0、a1に値を代入すると、以下のような物理学者のエルミート多項式 を得る。
H0(x)=H1(x)=H2(x)=H3(x)=H4(x)=H5(x)=⋮ 1 2x 4x2−2 8x3−12x 16x4−48x2+12 32x5−160x3+120x
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