エルミート関数が満たす微分方程式の演算子解法
📂数理物理学エルミート関数が満たす微分方程式の演算子解法
定理
与えられた微分方程式
yn′′−x2yn=−(2n+1)yn,n=0,1,2,⋯(1)
(1)の解は以下の通りであり、エルミート関数と呼ばれる。
yn=(D−x)ne−2x2=e2x2Dnx−x2
ここで、Dは微分演算子 D=dxdである。
説明
ynの最初の式は、微分方程式を解いて直接得ることができる。二番目の式が最初の式と同じであることは、数学的帰納法によって証明できる。
証明
微分演算子の性質 (e), (f)により、与えられた微分方程式を以下のように表すことができる。
(D−x)(D+x)yn(D+x)(D−x)yn=−2nyn=−2(n+1)yn
(2)に nの代わりにn−1を代入して両辺に(D−x)を適用すると、以下を得る。
(D−x)(D+x)(D−x)yn−1=−2n(D−x)yn−1
(1)に nの代わりにn+1を代入して両辺に(D+x)を適用すると、以下のようになる。
(D+x)(D−x)(D+x)yn+1=−2(n+1)(D+x)yn+1
ここで、ynは以下の式を満たすとする。
(D−x)yn−1(D+x)yn+1=yn=yn
すると、(3)=(1)であり、したがって(4)=(2)となるので、ynはやはり微分方程式を満たす。したがって、このような性質を持つynを見つけよう。
(D−x)はyn−1をynに変えるので、昇格演算子としよう。逆に(D+x)はyn+1をynに変えるので、降格演算子としよう。これで(3), (4)を満たすy0を見つければ、昇格演算子を通じて微分方程式の解ynを表現できるようになる。y0は基底状態なので、降格演算子を適用した時0となる。これは物理的な条件である。したがって、以下の式を得る。
(D+x)y0=0
この方程式は単純な分離可能な微分方程式である。
⟹⟹⟹dxdy0y01dy0lny0y0=−xy0=−xdx=−2x2=e−2x2
したがって、ynは以下の通りである。
yn=(D−x)ny0=(D−x)ne−2x2
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