角運動量と位置/運動量の交換関係
📂量子力学角運動量と位置/運動量の交換関係
公式
角運動量と位置の交換子は次のようになる。
[Lz,x][Lz,y][Lz,z]=iℏy=−iℏx=0
角運動量と運動量の交換子は次のようになる。
[Lz,px][Lz,py][Lz,pz]=iℏpy=−iℏpx=0
角運動量と位置の二乗、運動量の二乗は交換可能だ。つまり、以下の式を満たす。
[Lz,r2][Lz,p2]=0=0
ここで、r2=x2+y2+z2とp2=px2+py2+pz2だ。追加で次のことが成立する。
[Lz,x2][Lz,y2][Lz,px2][Lz,py2]=2iℏxy=−2iℏxy=2iℏpxpy=−2iℏpxpy
説明
上記の公式から、角運動量は同じ座標の位置、運動量と交換可能だということがわかる。
証明
次の公式が有用だ。
位置と運動量の交換子
[x,px]=iℏ
交換子の性質
[A+B,C][AB,C][A,BC]=[A,C]+[B,C]=A[B,C]+[A,C]B=B[A,C]+[A,B]C
[Lz,x]
まず、交換子[Lz,x]を展開してみると、
[Lz,x]=[xpy−ypx,x]=(xpyx−xxpy)−(ypxx−xypx)
ここで、異なる座標に対する位置と運動量は交換可能なので、最初の二つの項は0になる。
xpyx−xxpy=xxpy−xxpy=0
したがって次のように整理できる。
[Lz,x]=−ypxx+xypx=−ypxx+yxpx=y(xpx−pxx)=y[x,px]=y(iℏ)=iℏy
同じ方法で[Lz,y]を計算してみると次のようになる。
[Lz,y]=[xpy−ypx,y]=xpyy−yxpy−ypxy+yypx=xpyy−yxpy=xpyy−xypy=x(pyy−ypy)=x[py,y]=x(−iℏ)=−iℏx
また、zはx、y、px、pz全てと交換可能なので次が得られる。
[Lz,z]=[xpy−ypx,z]=0
[Lz,px]
[Lz,px]は交換子の性質によって次のようになる。
[Lz,px]=[xpy−ypx,px]=xpypx−pxxpy−ypxpx+pxypx=xpypx−pxxpy=xpxpy−pxxpy=(xpx−pxx)py=[x,px]py=iℏpy
三つ目の等号はyとpxが交換可能なので成立する。四つ目の等号はpx、pyが交換可能なので成立する。同じ方法で次が得られる。
[Lz,py]=[xpy−ypx,py]=xpypy−pyxpy−ypxpy+pyypx=−ypxpy+pyypx=[py,y]px=−iℏpx
pzはx、y、px、py全てと交換可能なので、以下の式が成立する。
[Lz,pz]=[xpy−ypx,pz]=0
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[Lz,r2]、[Lz,p2]
交換子の性質により次が得られる。
[Lz,x2]=x[Lz,x]+[Lz,x]x=xiℏy+iℏyx=2iℏxy
同じ方法で次のように計算できる。
[Lz,y2]=y[Lz,y]+[Lz,y]y=y(−iℏx)−iℏxy=−2iℏxy
[Lz,z2]=z[Lz,z]+[Lz,z]z=0
したがって次が得られる。
[Lz,r2]=[Lz,x2+y2+z2]=2iℏxy−2iℏxy+0=0
上記の方法で次のように計算できる。
[Lz,px2]=px[Lz,px]+[Lz,px]px=2iℏpxpy
[Lz,py2]=py[Lz,py]+[Lz,py]py=−2iℏpxpy
[Lz,pz2]=pz[Lz,pz]+[Lz,pz]pz=0
したがって次が得られる。
[Lz,p2]=[Lz,px2+py2+pz2]=2iℏpxpy−2iℏpxpy+0=0
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