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- Japanese: ベクトル場の平行移動 📂幾何学

- Japanese: ベクトル場の平行移動

定理

$\boldsymbol{\alpha} (t)$を$C^{2}$ 曲面上の$M$とする正則曲線としよう。$\tilde{\mathbf{X}} = (\tilde{X}^{1}, \tilde{X}^{2})$を点$\boldsymbol{\alpha}(t_{0})$で$M$に接するベクトルとしよう。すると$\mathbf{X}(t_{0}) =\tilde{\mathbf{X}}$を満たす$\boldsymbol{\alpha}(t)$に平行なベクトル場$\mathbf{X}(t)$が唯一存在する。

定義

上記の定理による唯一のベクトル場$X(t)$を**$\tilde{X}$の$\alpha$に沿った平行移動**the parallel translate of $\tilde{X}$ along $\alpha$という。

証明

$\mathbf{x}$を$\boldsymbol{\alpha}(t_{0})$に対する座標片写像とする。すると$\boldsymbol{\alpha}(t) = \mathbf{x} \left( \alpha^{1}(t), \alpha^{2}(t) \right)$として表現できる。

次に、次のような初期値問題を考えてみよう。

$$ \begin{align*} \dfrac{d X^{k}}{dt} =&\ - \sum_{i,j} \Gamma_{ij}^{k} X^{i} \dfrac{d \alpha^{j}}{d t},\quad k=1,2 \\ X^{k}(t_{0}) =&\ \tilde{X}^{k} \end{align*} $$

補題:平行なベクトル場の必要十分条件

$\boldsymbol{\alpha}(t) = \mathbf{x}\left( \alpha^{1}(t), \alpha^{2}(t) \right)$を座標片写像$\mathbf{x}$上の正則曲線としよう。$\mathbf{X}(t) = X^{1}\mathbf{x}_{1} + X^{2}\mathbf{x}_{2}$を$\alpha$に沿って微分可能なベクトル場としよう。すると$\mathbf{X}(t)$が$\alpha$に沿って平行である必要十分条件は次の通りだ。

$$ 0 = \dfrac{d X^{k}}{d t} + \sum_{i,j} \Gamma_{ij}^{k} X^{i} \dfrac{d \alpha^{j}}{d t},\quad k=1,2 $$

ピカールの定理により、$t_{0}$の近くでは唯一の解が存在する。したがって、補題によりこの解は$\alpha$に沿って平行なベクトル場であることがわかる。