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ベッセル方程式の第二の級数解:第二種ベッセル関数、ノイマン関数、ウェーバー関数 📂微分方程式

ベッセル方程式の第二の級数解:第二種ベッセル関数、ノイマン関数、ウェーバー関数

定義[^1]

ベッセル方程式の二番目の解をノイマン関数と呼び、$N_{\nu}(x)$または$Y_{\nu}(x)$で表される。非整数の$\nu$に対して

$$ N_{\nu}(x)=Y_{\nu}(x)=\frac{\cos (\nu \pi)J_{\nu}(x)-J_{-\nu}(x)}{\sin (\nu\pi)} $$

$\nu$が整数の場合は極限で定義する。$n\in \mathbb{Z}$、$\nu \in \mathbb{R}\setminus\mathbb{Z}$に対して

$$ N_{n}(x)=\lim \limits_{\nu \rightarrow n}N_{\nu}(x) $$

この時、$J_{\pm \nu}(x)$は第一種ベッセル関数である。従って、ベッセル方程式の一般解は次のようになる。

$$ y(x)=AJ_{\nu}(x)+BN_{\nu}(x) $$

ここで$A$、$B$は任意の定数。

説明

$$ x^{2}y^{\prime \prime} + xy^{\prime} +(x^{2}-\nu^{2})y=0 $$

上記ベッセル方程式の級数解を$J_{\pm\nu}(x)$と表し、$\nu$次の第一種ベッセル関数と言う。

$$ J_{\nu}(x)=\sum \limits_{n=0}^{\infty} \frac{(-1)^{n} }{\Gamma (n+1) \Gamma (n+\nu+1)} \left(\frac{x}{2} \right)^{2n+\nu} $$

$$ J_{-\nu}(x)=\sum \limits_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{\Gamma (n+1)\Gamma (n-\nu+1)} \left( \frac{x}{2} \right)^{2n-\nu} $$

見ての通り、二つの解は独立であるから、一般解は以下のようになる。

$$ y(x)=AJ_{\nu}(x)+BJ_{-\nu}(x) $$

しかし、$\nu$が整数の場合、二つの解は線形独立ではない。だから、$\nu$が整数の時でも、$J_{\nu}(x)$と独立する二番目の解を見つける必要がある。

ちょっと$\sin x$と$\cos x$を考えてみよう。二つの関数は線形独立である。しかし、$\sin x$と$\cos x$の何らかの線形結合である$2\sin x -5\cos x$も$\sin x$と線形独立である。このようなアイデアで、$J_{\nu}(x)$と$J_{-\nu}(x)$の任意の線形結合をベッセル方程式の二番目の解とする。

$$ \begin{equation} N_{\nu}(x)=\frac{\cos (\nu \pi)J_{\nu}(x)-J_{-\nu}(x)}{\sin (\nu\pi)} \label{eq1} \end{equation} $$

$N_{\nu}(x)$は$\nu$の条件と関係なく$J_{\nu}(x)$と独立であることが分かる。しかし、ここで再び問題が発生するが、$\nu$が整数なら

$$ N_{\nu}(x)=\frac{\cos (\nu \pi)J_{\nu}(x)-J_{-\nu}(x)}{\sin (\nu\pi)}=\frac{(-1)^{\nu}J_{\nu}(x)-(-1)^{\nu}J_{\nu}(x)}{0}=\frac{0}{0} $$

定義できない。従って、$\nu$が整数の時は以下のように極限を使って定義する。

$$ N_{n}(x)=\lim \limits_{\nu \rightarrow n}N_{\nu}(x)\quad \text{for }n\in \mathbb{Z},\ \nu \in \mathbb{R}\setminus \mathbb{Z} $$

この時、任意の$x \ne 0$に対して上記の極限が存在する。

定理

整数の$\nu$に対して、ベッセル関数$J_{\pm \nu}(x)$は以下の式を満たす。つまり、独立ではない。

$$ J_{-\nu}(x)=(-1)^{\nu}J_{\nu}(x) $$

証明

$$ J_{-\nu}(x)=\sum \limits_{n=0}^{\infty}\frac{(-1)^{n}}{\Gamma (n+1)\Gamma (n-\nu+1)} \left( \frac{x}{2} \right)^{2n-\nu} $$

$n=k+\nu$に置き換えると、

$$ J_{-\nu}(x)=\sum \limits_{k=-\nu}^{\infty}\frac{(-1)^{k+\nu}}{\Gamma (k+\nu+1)\Gamma (k+1)} \left( \frac{x}{2} \right)^{2k+\nu} $$

ガンマ関数は$0$と負の整数で発散するので、$k=-\nu,-\nu+1,\cdots,-1$の時、分母の$\Gamma (k+1)$は発散し、$J_{-\nu}(x)=0$となる。従って、

$$ \begin{align*} J_{-\nu}(x)&=\sum \limits_{k=-\nu}^{\infty}\frac{(-1)^{k+\nu}}{\Gamma (k+\nu+1)\Gamma (k+1)} \left( \frac{x}{2} \right)^{2k+\nu} \\ &=\sum \limits_{k=0}^{\infty}\frac{(-1)^{k+\nu}}{\Gamma (k+\nu+1)\Gamma (k+1)} \left( \frac{x}{2} \right)^{2k+\nu} \\ &=(-1)^{\nu}\sum \limits_{k=0}^{\infty}\frac{(-1)^{k}}{\Gamma (k+\nu+1)\Gamma (k+1)} \left( \frac{x}{2} \right)^{2k+\nu} \\ &=(-1)^{\nu}J_{\nu}(x) \end{align*} $$