解析的数論におけるユニット関数
定義 1
次のように定義された算術関数 $u$ をユニット関数という。 $$ u(n) := 1 $$
基本性質
- [1] ユニット級数:約数の数に等しい $\sigma_{0}$。つまり、 $$ \sum_{d \mid n} u(d) = \sigma_{0} (n) $$
- [2] 完全乗法性:全ての $m,n \in \mathbb{N}$ に対して $u(mn) = u(m) u(n)$
説明
$$ \begin{matrix} n & 1 & 2 & 3 & 4 & 5 & 6 & 7 & 8 & 9 & 10 \\ u (n) & 1 & 1 & 1 & 1 & 1 & 1 & 1 & 1 & 1 & 1 \\ \sum_{d \mid n} u(d) & 1 & 2 & 2 & 3 & 2 & 4 & 2 & 4 & 3 & 4 \end{matrix} $$ ユニット関数という名前からわかるように、とても重要な関数である。畳み込みを考えると、任意の算術関数 $f$ の級数 $F$ は実際には次のように表される。 $$ f \ast\ u = F $$
証明
[1]
$$ \sum_{d \mid n} u(d) = \sum_{d \mid n} 1 = \sigma_{0} (n) $$ 約数関数の定義により自明である。
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[2]
$$ u(mn) = 1 = 1 \cdot 1 = u(m) u(n) $$
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Apostol. (1976). Introduction to Analytic Number Theory: p31. ↩︎