グラフ内の距離、近傍、直径、周囲
📂グラフ理論グラフ内の距離、近傍、直径、周囲
定義
グラフ G で、始点がv∈V(G) で終点がw∈V(G) のパスの集まりをP(v,w) とし、v∈V(G) を含むサイクルの集まりをC(v) としよう。そして、ウォーク x の長さをl(x)と示そう。
- 二つの頂点v,w∈V(G) 間の距離d は、v が始点でw が終点のパスの長さの中で最も小さい値で定義される。つまり、
d(v,w):=v,w∈V(G)min{l(x):x∈P(v,w)}
- 頂点v∈V(G) に対し、v との距離が正確にi の頂点の集まりNi(v)⊂V(G) を**i-ネイバーフッド**と言う。
- グラフG の直径diam は、すべての頂点間の距離の中で最大の値として定義される。つまり、
diam(G):=v,w∈V(G)sup{d(v,w):v=w}
- グラフG の周長girth は、すべてのサイクルの長さの中で最小の値として定義される。つまり、
girth(G):=v∈V(G)min{l(x):x∈C(v)}
説明
グラフ内の頂点間の距離は、ジオデシック距離とも呼ばれる。ユークリッド距離と異なり、一つの頂点から別の頂点に到達するまでの実際の歩数を表しているため、この名前は妥当と言えるだろう。例えば、以下のグラフでは、d(v,w) はどんな場合でも2 より小さくなることは無く、d(v,w)=2 になる。

直径の定義は初めは奇妙に感じられるかもしれない。比喩として、円 x2+y2=r2を考えてみよう。円上に任意の二点を選んだ場合、二点間の距離が最も遠くなるのは、二点が円の中心に対して対称的に位置するときだ。もちろん、その距離は2rで、これが我々が円の直径と呼ぶものだ。例えば、上記のグラフの直径は2である。
周長は概念的に、グラフにおける最小のサイクルのサイズを言う。明示的には述べていないが、グラフにサイクルが存在しない場合は、その周長を無限大とする。また、任意のグラフにおいて周長の最小値が3 より低くなることはないと自明である。例えば、下の図を見れば、いくつかのサイクルが存在するものの、最小のサイクルの長さは3 であるため、周長は3 になる。
