二部グラフ
定義 1
グラフ の頂点 に対して パーティション が存在し、すべての に対して または であれば、 を二部グラフと呼び、 のように表示することもある。
説明
二部グラフとは、名前の通り頂点が二つのグループに分けられ、同じグループ内の頂点同士は隣接しないグラフのことだ。例えば、下の図を見ると、オレンジ色の頂点同士は隣接しないし、青色の頂点同士も隣接しない。
見ての通り、異なるパーティションにあるからといって必ず隣接している必要はない。もし隣接していれば、それを完全二部グラフと呼ぶ。パーティションが三つの集合になった場合は、三部グラフと呼ぶ。自然に個のパーティションに一般化は可能だが、通常、研究対象としては二部グラフで十分である場合が多い。
一方、二部グラフは次のようにサイクルに関連した定理が知られている。
定理
を連結グラフとする。 が二部グラフであることと、 のすべてのサイクルの長さが偶数であることは同値である。
証明
が二部グラフだとしよう。 のサイクルがの頂点から始まった場合、 に移ってから に戻るときは、二つのエッジを通らなければならない。従って、 に何度行っても、閉じたパスを形成するには、結局偶数回のエッジを通るしかない。従って、 のすべてのサイクルの長さは偶数でなければならない。
の頂点 一つを固定しよう。始点が で終点が の最短パスのうち、長さが偶数の を集めた集合を とし、そうでない頂点の集合を とする。 に属する二つの頂点 と が隣接していれば、次のようなサイクル の長さは、 の定義により奇数となる。しかし、前提で のすべてのサイクルの長さが偶数であるため、これは矛盾であり、 に属する頂点同士は隣接しない。これは に属する頂点にも同じことが言える。従って、 は二部グラフ でなければならない。
■
Wilson. (1970). Introduction to Graph Theory: p18. ↩︎