ベータ関数の異常積分形式での表現
定理
ベータ関数: $$ B(p,q)=\int_{0}^{1}t^{p-1}(1-t)^{q-1}dt\quad \cdots (1) $$
ベータ関数は、以下のような不適切積分で表せる。 $$ B(p,q)=\int_{0}^{\infty}\frac{ t^{p-1} }{ (1+t)^{p+q}}dt\quad \cdots (2) $$
説明
上の式を使えば、計算が難しい積分値を簡単に得られる。証明は難しくない。
証明
$(1)$を$t=\frac{x}{1+x}$と置き換えよう。すると$1-t=\frac{1}{1+x}$となり、積分範囲は$\int_{0}^{1}\rightarrow \int_{0}^{\infty}$に変わる。また、$ \displaystyle \frac{ d t }{ d x }=\frac{1}{1+x}-\frac{x}{(1+x)^{2}}=\frac{1}{(1+x)^{2}}$なので、$dt=\dfrac{1}{(1+x)^{2}}dx$となり、これを$(1)$に代入すると $$ \begin{align*} B(p,q) &= \int_{0}^{\infty}\frac{ x^{p-1} }{ (1+x)^{p-1} }\frac{ 1 }{ (1+x)^{q-1 } }\frac{ 1 }{ (1+x)^{2} }dx \\ &= \int_{0}^{\infty}\frac{ x^{p-1} }{ (1+x)^{p+q} }dx \\ &= \int_{0}^{\infty}\frac{ t^{p-1} }{ (1+t)^{p+q} }dt \end{align*} $$
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例
$\displaystyle \int_{0}^{\infty}\frac{ x^{5} }{ (1+x)^{8} }dx$を計算せよ。
解答
この積分は、$(2)$から$p=6$、$q=2$の場合で、 $$ \begin{align*} \int_{0}^{\infty}\frac{ x^{5} }{ (1+x)^{8} }dx &= B(6,2) \\ &= \frac{ \Gamma (6)\Gamma (2) }{ \Gamma (6+2) } \\ &= \frac{ 5!1! }{ 7! } \\ &= \frac{ 1 }{ 42} \end{align*} $$ 二番目の等号では、関係式$B(p,q)=\dfrac{ \Gamma (p)\Gamma (q) }{ \Gamma (p+q) }$を使用した。
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