二つの確率尺度が一致する条件
📂確率論二つの確率尺度が一致する条件
定理
空間 S が距離空間(S,ρ) であり、かつ可測空間(S,B(S)) だとしよう。
O はすべての開集合の集合、C はすべての閉集合の集合であり、P と Q は(S,B(S)) で定義された確率測度だ。
- [1]: すべての開集合O∈O⊂S に対してP(O)=Q(O) ならばP=Q だ。つまり、O はセパレーティングクラスだ。
- [2]: すべての閉集合C∈C⊂S に対してP(C)=Q(C) ならば P=Q だ。つまり、C はセパレーティングクラスだ。
- [3]: すべてのf∈Cb(S) に対してPf=Qf ならば、すべてのA∈B(S) に対してP(A)=Q(A) 、つまりP=Q だ。
- すべてのA∈B(S) に対してP(A)=Q(A) ならばP=Q と言う。
- Cb(S) は、S で定義される有界連続関数の集合を表す。
Cb(S):={f:S→R∣f is bounded and continuous}
- ∫SfdP は簡単にPf:=∫SfdP のように表示される。
表記
さらに議論のために、以下のようないくつかの表記を紹介する:
- 要素x∈S と部分集合A⊂S、そしてδ>0 について
ρ(x,A):=inf{ρ(x,a):a∈A}Aδ:={x∈S:ρ(x,A)<δ}
- ある固定されたF⊂S に対して
fδ(x):==(1−ρ(x,F)/δ)+⎩⎨⎧11−ρ(x,F)/δ0,x∈F,x∈/F∧x∈Fδ,x∈/Fδ
式は複雑に見えるが、図で見れば決して難しくはない。ρ(x,A) は単に点x∈S と集合A⊂S の最短距離を表している。

Aδ は単にA よりδ だけ大きくなったオープンセットだ。

最も難しいのがfδ(x) だが、下の図のように、関数値がF でのみ1 であり、δ ほど近いところでは0 と1 の間の連続的な値、それ以外の場所では0 の関数だ。この関数が作られた理由を形から推測できる。まず、有界であり一様連続であるためにfδ∈Cb(S) しかない。また、δ→0 の時fδ(x)→1F のように扱いやすい単純関数に収束するのは良いことだ。

証明
戦略[1], [2]: O とC はそれぞれオープンセットとクローズドセットをすべて集めた集合であるため、それがπシステムであることを示すのは非常に簡単だ。そして、次の性質を使ってセパレーティングクラスになることを示せば良い。
セパレーティングクラスになる条件とπシステム:C にσ(C)=B(S) が成り立ち、すべてのA∈C に対してP(A)=Q(A) ならば、C はセパレーティングクラスだ。
[1]
オープンセット同士の交わりはオープンセットなのでA,B∈O ならばA∩B∈O、つまりO はπシステムだ。ボレルσフィールドB(S) は距離空間(S,ρ) のすべてのオープンセット、すなわちO のすべての要素を含む最小のσフィールドなのでσ(O)=B(S) だ。それ故、すべての開集合O∈O に対してP(O)=Q(O) が満たされれば、O はセパレーティングクラスになる。
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[2]
閉集合同士の交わりは閉集合なのでA,B∈C ならばA∩B∈C、つまりC はπシステムだ。閉集合の定義とC∈C ならばS∖C∈O、そしてσフィールドの定義によりC∈B(S) でなければならない。つまりσ(O)=σ(C)=B(S) だ。それ故、すべての閉集合C∈C に対してP(C)=Q(C) が満たされれば、C はセパレーティングクラスになる。
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[3]
fε(x):=(1−ρ(x,F)/ε)+
閉集合F∈C とε>0 に対してfε:S→R を上記のように定義しよう。するとfε は次の二つの条件を満たす。
fε∈Cb(S)1F(x)≤fε(x)≤1Fε(x)
すべてのf∈Cb(S) に対してPf=Qf と仮定すると、∫ΩfεdP=∫ΩfεdQ も成立する。
P(F)=≤=≤=∫Ω1FdP∫ΩfεdP∫ΩfεdQ∫Ω1FεdQQ(Fε)
整理するとP(F)≤Q(Fε) だ。F は閉集合なのでε→0limFε=F、そして最近得た式の両辺にε→0lim を適用すると、測度の連続性により
P(F)=≤==ε→0limP(F)ε→0limQ(Fε)Q(ε→0limFε)Q(F)
P(F)≤Q(F) が得られ、同じ方法でQ(F)≤P(F) も成り立つことが示せる。それ故、閉集合F に対してP(F)=Q(F) が成り立ち、[2]によりすべてのA∈B(S) に対してP(A)=Q(A) が成立する。
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