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ヴィタリ収束定理 📂測度論

ヴィタリ収束定理

定理 1

測度空間 $( X , \mathcal{E} , \mu)$ が与えられているとしよう。

$1 \le p < \infty$ とするとき、関数の シーケンス $\left\{ f_{n} \right\}_{n \in \mathbb{N}} \subset \mathcal{L}^{p}$ が $f$ に $\mathcal{L}_{p}$ で収束することは、以下の三つの条件をすべて満たすことと必要十分条件である。

  • (i): $\left\{ f_{n} \right\}$ は $f$ に測度収束する。
  • (ii): $\left\{ | f_{n} |^{p} \right\}$ は一様可積分である。
  • (iii): すべての $\varepsilon > 0$ に対して $$ F \in \mathcal{E} \land F \cap E = \emptyset \implies \int_{F} | f_{n} |^{p} d \mu < \varepsilon^{p} \qquad \forall n \in \mathbb{N} $$ が満たされ、$\mu (E) < \infty$ な $E \in \mathcal{E}$ が存在する。

説明

  • (iii): 少し難しい言い方かもしれないが、$E$ はある $\varepsilon>0$ に依存して、$E = E_{\varepsilon}$ のように表現でき、$\mu (E) < \infty$ を満たすほど大きくない必要がある。このくらい小さな $E_{\varepsilon}$ が存在し、$\displaystyle \int_{F} | f_{n} |^{p} d \mu < \varepsilon^{p}$ を満たすような十分大きな $F$ に重ならないようにする必要がある。
    実際、不等式を満たすことができれば、$E$ はどれだけ大きくても問題ない。だからこの条件は、測度 $\mu$ が有限測度であれば自明に成立する。全体空間 $X$ に対して、$\mu (X) < \infty$ なので、$E_{\varepsilon} = X$ とすると、重なる部分がない可測集合は$\emptyset \in \mathcal{E}$ だけであり、$\displaystyle \int_{\emptyset} | f_{n} |^{p} d \mu = 0$ で特に条件をチェックする必要がなくなる。

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有限測度の典型的な例には確率 $P$ がある。確率論では、ビタリ収束定理は一様可積分という条件が加わることによって、$\mathcal{L}_{p}$ までの確率収束を引き出す定理となる。


  1. Bartle. (1995). The Elements of Integration and Lebesgue Measure: p76. ↩︎