複素測度、ベクトル測度
📂測度論複素測度、ベクトル測度
定義
(X,E)を可測空間とする。以下の条件を満たす関数ν:E→Cを(X,E)上の複素測度またはベクトル測度と呼ぶ。
- (a) ν(∅)=0
- (b) 互いに素なEj∈Eに対して、
ν(j=1⋃∞Ej)=1∑∞ν(Ej)
説明
(b) は加算加法性を意味する。複素測度は、測度、符号測度とは異なり、拡張実数値を持たないように定義されている。これは、どの方向でも無限大の値を取ることができるからである。したがって、有限な符号測度は複素測度である。複素測度νは、以下のように実部と虚部に分けることができる。
ν(E)νr(E)νi(E)=νr(E)+iνi(E)=Re(ν(E))=Im(ν(E))
するとνr、νiは実数値を持つ符号測度になる。積分については、次のように自然に拡張が可能である。
L1(ν)⟺L1(νr)∩L1(νi)∫fdν=∫fdνr+i∫fdνiforf∈L1(ν)
また、二つの複素測度ν、μが互いに特異である場合、それぞれの実部、虚部がそれぞれ特異であると定義する。
ν⊥μ⟺νa⊥μbfora,b=r,i
同様に、λを符号測度とする場合、νr、νiがそれぞれλに対して絶対連続であれば、複素測度νがλに対して絶対連続であると言う。
参照