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集合族と添字 📂集合論

集合族と添字

定義

  1. 要素が集合である集合をファミリーfamilyという。
  2. ファミリーの要素をメンバーmemberという。
  3. 一つの集合Γ\Gammaの各γΓ\gamma \in \Gammaに対して集合AγA_{\gamma}が対応する時、γ\gammaインデックスΓ\Gammaインデックス集合{Aγ:γΓ}\left\{ A_{\gamma} : \gamma \in \Gamma \right\}インデクスファミリーという。

説明

ファミリーは本来、「集合族」という言葉で表されているが、この表現は「集合の集合」という非常に不便な言葉を避けるためだけのもので、それでもなお直感的ではなく不便である。集合が要素として集合を持つという概念を表すためにわざわざ新しい言葉を作るのは奇妙だ。つまり、ファミリーという言葉は純粋に便宜のために導入されたということだ。

例として、次のファミリーを考えてみよう: F={{1},R,Q,,R} \mathcal{F}=\left\{\left\{ 1 \right\} , \mathbb{R} , \mathbb{Q}, \emptyset , \mathbb{R} \right\} F\mathcal{F}はその要素が全て集合であるため、ファミリーと呼べる。注目すべき点は、R\mathbb{R}が重複して使われていることだ。このような表記からファミリーは単なる集合の集合ではないし、正確な意味での集合の集合でもないことを知るべきだ。純粋に、純粋に便宜だ。その意味で、「集合族」の族はFamilyから来た家族や族の族しか取り入れておらず、英語の表現が言いたいことを全く生かせていない。さらにメンバーは「構成員」と純化されているが、これはどう見ても便利な表現ではないので、このブログではファミリーとメンバーをそのまま使用する。

同様に、インデックスも「添え数」と純化されているが、これは行き過ぎだ。上で例として挙げたF\mathcal{F}についてインデックスファミリーを構成してみよう。幸いなことに有限集合であるため、Γ={1,2,3,4,5}\Gamma = \left\{ 1,2,3,4,5 \right\}に対して A1={1}A2=RA3=QA4=A5=R A_{1} = \left\{ 1 \right\} \\ A_{2} = \mathbb{R} \\ A_{3} = \mathbb{Q} \\ A_{4} = \emptyset \\ A_{5} = \mathbb{R} とすると、F={Aγ:γΓ}\mathcal{F} = \left\{ A_{\gamma} : \gamma \in \Gamma \right\}を得る。ここで、A2=RA_{2} = \mathbb{R}でありながらA5=RA_{5} = \mathbb{R}であることに注意しよう。重複を許したのは、集合論の基盤を揺るがすためではなく、ただ表現上便利に使うためであることを覚えておこう。同じ理由で、ファミリーは単にコレクションcollectionとも呼ばれる。英語で集合を定義する際にCollectionという表現が使われているため、意味が循環しているように見えるが、前述のようにそれは単に便利に話すためのものなので、あまり深く考えずに、使用している教材の慣習に従えばいい。

一方、インデックスは必ずしも上記のような順序を守る必要はなく、具体的に番号が付けられている必要もない。Γ=R\Gamma = \mathbb{R}として、AγA_{\gamma}kZk \in \mathbb{Z}に対してγ\gammaを含む区間[k,k+1)[k , k+1)と考えてみよう。すると、γR\gamma \in \mathbb{R}であるため、Aπ=[3,4)A_{\pi} = [3,4)A10=[3,4)A_{\sqrt{10}} = [3,4)など、全てのγΓ\gamma \in \Gammaに対して対応するAγA_{\gamma}を見つける理由がない。こんな変な構成がどうして必要かと思うかもしれないが、位相数学だけを見ても、このような集合を当たり前のように使う。

任意のファミリーF\mathcal{F}に対して、以下の表現を使用する。

  • 和集合: F=AF{xU:AF,xA} \bigcup \mathcal{F} = \bigcup_{A \in \mathcal{F}} \left\{ x \in U : \exists A \in \mathcal{F} , x \in A \right\}
  • 積集合: F=AF{xU:AF,xA} \bigcap \mathcal{F} = \bigcap_{A \in \mathcal{F}} \left\{ x \in U : \forall A \in \mathcal{F} , x \in A \right\}

基本性質

{Aγ:γΓ}\left\{ A_{\gamma} : \gamma \in \Gamma \right\}について、以下が成立する。

  • [1] 包含原理の集合形: 全体集合UUに対して、 γAγ=γAγ=U \bigcup_{\gamma \in \emptyset} A_{\gamma} = \emptyset \\ \bigcap_{\gamma \in \emptyset} A_{\gamma} = U
  • [2] ド・モルガンの定理の一般化: (γΓAγ)c=γΓAγc(γΓAγ)c=γΓAγc \left( \bigcup_{\gamma \in \Gamma} A_{\gamma} \right)^{c} = \bigcap_{\gamma \in \Gamma} A_{\gamma}^{c} \\ \left( \bigcap_{\gamma \in \Gamma} A_{\gamma} \right)^{c} = \bigcup_{\gamma \in \Gamma} A_{\gamma}^{c}
  • [3] 分配法則: 集合BBに対して、 (γΓAγ)B=γΓ(AγB)(γΓAγ)B=γΓ(AγB) \left( \bigcup_{ \gamma \in \Gamma } A_{\gamma} \right) \cap B = \bigcup_{\gamma \in \Gamma} \left( A_{\gamma} \cap B \right) \\ \left( \bigcap_{ \gamma \in \Gamma } A_{\gamma} \right) \cup B = \bigcap_{\gamma \in \Gamma} \left( A_{\gamma} \cup B \right)