フレシェ微分に対する連鎖律
📂バナッハ空間フレシェ微分に対する連鎖律
定理
(X,∥⋅∥X),(Y,∥⋅∥Y),(Z,∥⋅∥Z) を バナッハ空間 としよう。Ω⊂X、U⊂Y を 開集合 とする。そして関数 F:Ω→Y、G:U→Z が与えられたとする。このとき、F(Ω)⊂U を満たす。さて、F が x∈Ω で (フレシェ)微分可能 であるとし、G が z=F(x)∈U で微分可能であるとする。すると、H:=G∘F も x∈Ω で微分可能で、以下の式が成立する。
DH(x)=DG(z)DF(x)=DG(F(x))⋅DF(x)
説明
当然、フレシェ導関数にも連鎖律が成立する。
証明
まず、R,R1 を次のようにしよう。
R(x,y)=F(x+y)−F(x)−DF(x)y,∀y∈X, x+y∈Ω
R1(z,w)=G(z+w)−G(z)−DG(z)w,∀w∈Y, z+w∈U
すると、仮定により F が x で、G が z で微分可能であるから、
∥y∥X→0lim∥y∥X∥R(x,y)∥Y=0=∥w∥Y→0lim∥w∥Y∥R1(z,w)∥Z
さらに、(1) により、x+y∈Ω である y∈X について、
H(x+y)== G(F(x+y)) G(F(x)+DF(x)y+R(x,y))
このとき DF(x)y+R(x,y)=W′ とすると、G は線形であり z=F(x) であるので (2) により、
H(x+y)==== G(z+W′) G(z)+DG(z)W′+R1(z,W′) G(z)+DG(z)(DF(x)y+R(x,y))+R1(z,DF(x)y+R(x,y)) H(x)+DG(z)DF(x)y+DG(z)R(x,y)+R1(z,DF(x)y+R(x,t))(4)
最後の二項を R2(x,y) とし、f が以下のようであるとしよう。
R2(x,y)=DG(z)R(x,y)+R1(z,DF(x)y+R(x,y))∈Z
f(w)=⎩⎨⎧∥w∥Y∥R1(z,w)∥Z0∀w∈Y,z+w∈U,w=0w=0
すると、∥y∥→0lim∥y∥X∥R2(x,y)∥Z=0 であることが確認できる。ノルム の定義により 三角不等式 が成立し、∥Lx∥≤∥L∥∥x∥ であるから、
∥y∥X∥R2(x,y)∥Z≤≤∥y∥X∥DG(z)R(x,y)∥Z+∥y∥X∥R1(z,DF(x)y+R(x,y))∥Z∥DG(z)∥∥y∥X∥R(x,y)∥Y+∥y∥X∥R1(z,DF(x)y+R(x,y))∥Z
また、f の定義 と 三角不等式 により、
==≤≤∥DG(z)∥∥y∥X∥R(x,y)∥Y+∥y∥X∥R1(z,DF(x)y+R(x,y))∥Z ∥DG(z)∥∥y∥X∥R(x,y)∥Y+∥DF(x)y+R(x,y)∥Y∥R1(z,DF(x)y+R(x,y))∥Z∥y∥X∥DF(x)y+R(x,y)∥Y∥DG(z)∥∥y∥X∥R(x,y)∥Y+f(DF(x)y+R(x,y))∥y∥X∥DF(x)y+R(x,y)∥Y∥DG(z)∥∥y∥X∥R(x,y)∥Y+f(DF(x)y+R(x,y))[∥y∥X∥DF(x)y∥Y+∥y∥X∥R(x,y)∥Y]∥DG(z)∥∥y∥X∥R(x,y)∥Y+f(DF(x)y+R(x,y))[∥DF(x)∥∥y∥X∥y∥X+∥y∥X∥R(x,y)∥Y]
まず、∥y∥X→0lim∥y∥X∥R(x,y)∥Y=0 であるので、最初の項は ∥y∥→0 のとき 0 である。(3) と f の定義により、DF(x)y+R(x,y)→0 であれば f→0 である。微分可能であるという仮定により、R(x,y)→0 であり、DF(x) は 有界線形 であるので、∥y∥→0 のとき DF(x)y→0 である。また、最後の項も微分可能であるという仮定により、0 に収束する。したがって、
∥y∥→0lim∥y∥X∥R2(x,y)∥Z≤∥DG(z)∥⋅0+0⋅[∥DF(x)∥+0]=0
この結果を (4) に適用すると、
H(x+y)−H(x)+DG(z)DF(x)y=R2(x,y)
⟹∥y∥X∥H(x+y)−H(x)+DG(z)DF(x)y∥Z=∥y∥X∥R2(x,y)∥Z
⟹∥y∥X→0lim∥y∥X∥H(x+y)−H(x)+DG(z)DF(x)y∥Z=∥y∥X→0lim∥y∥X∥R2(x,y)∥Z=0
したがって、微分可能の定義 により、H は x∈Ω で微分可能であり、H の導関数は
DH(x)=DG(z)DF(x)
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