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相互に特異的 📂測度論

相互に特異的

定義1

二つの符号測度$\nu$、$\mu$が与えられたとする。以下の三つの条件を$\nu$、$\mu$に対して満たす$E,F\ \in \mathcal{E}$が存在する場合、二つの符号測度$\nu$、$\mu$はmutually singularと言われ、$\nu \perp \mu$または$\mu \perp \nu$と表示される。

  • $E \cup F=X$
  • $E \cap F=\varnothing$
  • $E$は$\nu$に対する零集合であり、$F$は$\mu$に対する零集合である。

また、「$\nu$が$\mu$に対してsingularである」、「$\mu$が$\nu$に対してsingularである」という表現も全て同じ意味である。

説明

$\mu_{n}$を$\mathbb{R}^n$のルベーグ測度としよう。そして、以下のように定義されたディラック測度とする$\delta_{x_{0}}$。

$$ \delta_{x_{0}} (E) := \begin{cases} 1 & x_{0} \in E \\ 0 & x_{0} \notin E \end{cases} $$

$E=\left\{ x_{0} \right\}$、$F=\mathbb{R}^n-E$とする。すると$E\cup F=\mathbb{R}^n$であり$E \cap F=\varnothing$である。さらに、$F$は$\delta_{x_{0}}-\mathrm{null}$であり、$E$は$\mu_{n} -\mathrm{null}$であるため、ルベーグ測度とディラック測度は互いにsingularである。

$$ \delta_{x_{0}} \perp \mu_{n} $$


  1. Gerald B. Folland, Real Analysis: Modern Techniques and Their Applications (2nd Edition, 1999), p87 ↩︎