量子力学におけるグラム・シュミットの直交化過程
📂量子力学量子力学におけるグラム・シュミットの直交化過程
定義
グラム・シュミットの直交化法Gram-Schmidt orthogonalization procedureは、互いに直交していないベクトルから直交集合を作る方法のことだ。
公式
時間無関係な二つの一次元波動関数 u1、u2を与えられたとしよう。このとき、u1と u2は正規化されていて、互いに直交していないとしよう。そうすると、次のような波動関数uは、u1と直交する正規化された波動関数だ。
u=1−∫u1∗u2dx2(−∫u1∗u2dx)u1+u2=1−∣⟨u1∣u2⟩∣2−⟨u1∣u2⟩u1+u2
説明
u1とu2からu1と直交する新しい固有関数uを見つけるのが目的だから、まずu=c1u1+c2u2としよう。さて、uがu1と直交している条件とuの正規化条件を利用してc1とc2を求めることができる。
パート1. uとu1は直交する。
uはu1と直交しているから次が成り立つ。
∫uu1∗dx=∫(c1u1u1∗+c2u2u1∗)dx=∫c1u1u1∗dx+∫c2u2u1∗dx=c1+c2∫u1∗u2dx=0
したがって次を得る。
c1=−c2∫u1∗u2dx(1)
パート2. uは正規化された関数だ。
uは正規化された固有関数だから次が成り立つ。
∫uu∗dx=∫(c1u1+c2u2)(c1u1∗+c2u2∗)dx=(c1)2∫u1u1∗dx+(c2)2∫u2u2∗dx+c1c2(∫u1∗u2dx+∫u1u2∗dx)=(c1)2+(c2)2+c1c2(∫u1∗u2dx+∫u1u2∗dx)=1
最後の等式に(1)を代入すると以下のようだ。
(c2)2(∫u1∗u2dx)2+(c2)2−(c2)2(∫u1∗u2dx)2−(c2)2∫u1∗u2dx∫u1u2∗dx=1
⟹(c2)2−(c2)2∫u1∗u2dx∫u1u2∗dx=1
⟹(c2)2(1−∫u1∗u2dx2)=1
⟹c2=1−∫u1∗u2dx21
ここでc2の符号として+を選んだのは単に便宜のためであり、−を選んでも構わない。これを(1)に代入するとc1を得る。
c1=1−∫u1∗u2dx2−∫u1∗u2dx
したがって、u1と直交しており、かつ正規化された関数uは次の通りだ。
u=1−∫u1∗u2dx2(−∫u1∗u2dx)u1+u2
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