ソボレフ空間は分離可能であり、一様凸であり、反射的であることの証明
定理1
$1\le p <\infty$ のとき、ソボレフ空間 $W^{m, p}$ は 分離可能である。また、$1< p < \infty$ のとき、ソボレフ空間は 反射的で一様凸である。
説明
内積が定義されているベクトル空間を内積空間と言い、完備な内積空間を特にヒルベルト空間と呼ぶ。$W^{m, p}$ が完備であるため、以下のように内積を定義すれば、$W^{m,\ 2}$ は分離可能なヒルベルト空間となる。
$$ \langle u,\ v \rangle_{m} = \sum \limits_{0\le |\alpha | \le m } \left\langle D^\alpha u,\ D^\alpha v \right\rangle $$
このとき、$\langle \cdot, \cdot \rangle$ は $L^2$ 空間での内積である。
証明
$W^{m, p}$ にはノルムが定義されているため、距離空間となる。そして、$L^{p}$ 空間は完備距離空間である。
$(X, d)$ を距離空間としよう。$(Y,d’)$ を完備距離空間としよう。すると、等距離写像である埋め込み $f : X \to Y$ が存在する。
従って、以下のように等距離写像である埋め込みが存在する。
$$ P : W^{m, p} \rightarrow L^{p} $$
このとき、$P(W^{m, p})=W$ としよう。$P$ が埋め込みであるため、$W \subset L^{p}$ が成り立つ。また、$W^{m, p}$ が完備であり、$P$ が等距離写像であるため、$W$ も完備である。
$M$ が完備距離空間だとしよう。$S$ が $M$ の部分空間だとしよう。すると、次の二つの命題が成り立つ:
- $S$ は $M$ の中で閉じている。
- $S$ は完備である。
上記の定理により、$W$ は $L^{p}$ の閉じた部分空間である。
補題
$X$ をバナッハ空間としよう。$M$ を $X$ の閉じた部分空間としよう。すると、
- $M$ もバナッハ空間である。
- $X$ が分離可能なら、$M$ も分離可能である。
- $X$ が反射的なら、$M$ も反射的である。
- $X$ が一様凸なら、$M$ も一様凸である。
$L^{p}$ 空間が $1 \le p < \infty$ のとき分離可能で、$1 < p < \infty$ のとき一様凸で反射的であるため、上記の補題により $W$ も $1 \le p < \infty$ のとき分離可能で、$1 < p < \infty$ のとき一様凸で反射的である。
その一方で、$P$ が埋め込みであるため、$P=(W^{m, p})=W$ と $W^{m, p}$ は位相同型である。したがって、$W$ が分離可能であれば、$W^{m, p}$ も分離可能である。また、$P$ が等距離写像であるため、一様凸の定義により、$W$ が一様凸であれば $W^{m, p}$ も一様凸である。
補題
一様凸なバナッハ空間は反射的である。
$W^{m, p}$ はバナッハ空間であるため、$W^{m, p}$ は反射的である。
■
Robert A. Adams and John J. F. Foutnier, Sobolev Space (第2版, 2003), p61-62 ↩︎