実数空間で定義された関数の微分
定義1
$a$を含むある$E$で$f$が定義されていて、限界
$$ f^{\prime} (a) := \lim_{h \to 0} {{ f (a + h ) - f(a) } \over { h }}=\lim \limits_{x\rightarrow a}\frac{f(x)-f(a)}{x-a} $$
が存在するならば、$f$は$a$で微分可能differentiableであるといい、$f^{\prime} (a)$を$a$での$f$の微分係数という。
全ての点$a \in E$に対して$f$が微分可能なら、$f$は$E$で微分可能であるという。$f$が$E$で微分可能な時、$E$上で定義された$f^{\prime}$を$f$の導関数derivativeと呼ぶ。
説明
解析学を学ぶ上で最も歓迎されるのが微分だ。なぜなら、数列であれ積分であれ本来の姿をそのまま持っているだけでなく、複雑になることに比べて、微分だけが比較的簡単で理解しやすいからだ。多重積分や偏微分も登場するが、他の概念に比べれば簡単で分かりやすい。このように微分の定義をあえて「実数空間」に限定し、偏微分が言及されるのは、微分が多次元に拡張されることを示唆しているためだ。
定理
(a) 連続性: $f$が$a \in E$で微分可能ならば、$a \in E$で連続である。
(b) 連鎖律: $( g \circ f)' ( a ) = g ’ ( f (a) ) f '(a)$
(c) 逆関数の定理: 開区間$E$で$f : E \to \mathbb{R}$が一対一の連続関数であるとする。(i) ある$a \in E$に対して$b = f(a)$であり、(ii): $f ' (a) \ne 0$が存在するならば、$f^{-1}$は$a$で微分可能であり、
$$ \left( f^{-1} \right)' (b) = {{ 1 } \over { f '(a) }} $$
William R. Wade, An Introduction to Analysis (4th Edition, 2010), p98-99 ↩︎