ハミルトニアンとラグランジアンの凸双対性
📂偏微分方程式ハミルトニアンとラグランジアンの凸双対性
定理
ルジャンドル変換
- Lは凸関数だ。
- ∣v∣→∞lim∣v∣L(v)=+∞
上記の条件を満たすラグランジアン L:Rn→Rに対して、Lのルジャンドル変換 L∗:Rn→Rを次のように定義する。
L∗(p):=v∈Rnsup(p⋅v−L(v))∀ p∈Rn
ラグランジアン Lがルジャンドル変換が定義される条件を満たすとする。ハミルトニアン HをLのルジャンドル変換としよう。
H=L∗
すると、H もルジャンドル変換が定義されるための2つの条件を満たし、L=H∗が成り立つ。
(a) Hは凸関数だ。
λH(v1)+(1−λ)H(v2)≤H(λv1+(1−λ)v2)∀ v1,v2∈Rn,∀ 0≤λ≤1
(b) ∣p∣→∞lim∣p∣H(p)=+∞
(c) L=H∗
逆も成り立つ。さらに、HとLがp、v∈Rnで微分可能であれば、以下の内容はすべて等価である。
- p⋅v=L(v)+H(p)
- p=DL(v)
- v=DH(p)
証明
(a)
p,q∈Rnと0≤τ≤1とする。すると、次が成り立つ。
H(τp+(1−τ)q)=v∈Rnsup((τp+(1−τ)q)⋅v−L(v))=v∈Rnsup(τ(p⋅v−L(v))+(1−τ)(q⋅v−L(v)))≤τvsup(p⋅v−L(v))+(1−τ)vsup(q⋅v−L(v))=τH(p)+(1−τ)H(q)
第二の等号はτL(v)−τL(v)を加えて整理すれば成り立つ。第三行はLが凸関数であるため成り立つ。最後の等号はルジャンドル変換の定義とH=L∗という仮定によって成り立つ。
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(b)
任意の固定された正の数λ>0があるとする。そしてp=0∈Rnとする。すると、仮定により次が成り立つ。
H(p)=v∈Rnsup(p⋅v−L(v))
この時、v=λ∣p∣pと置くと、supの定義により、上の式に任意のvを代入しても、上の式以下であるため、次を得る。
H(p)=v∈Rnsup(p⋅v−L(v))≥λ∣p∣−L(λ∣p∣p)≥λ∣p∣−B(0,λ)maxL
両辺を∣p∣で割ると、次のようになる。
∣p∣H(p)≥λ−∣p∣maxL
これは、次の式が成立することを意味する。
∣p∣→∞liminf∣p∣H(p)≥λ
上の式は任意のλに対して成立するので、次を得る。
∣p∣→∞liminf∣p∣H(p)=∞
したがって、次のようになる。
∣p∣→∞lim∣p∣H(p)=∞
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(c)
H=L∗とL∗=sup(p⋅v−L(v))で、どんなvにも対してHは常に大きいか等しい。
H(p)≥p⋅v−L(v)∀ v∈Rn
HとLを交換すると、次を得る。
L(v)≥p⋅v−H(p)∀ v∈Rn
両辺でp∈Rnに対してsupを適用すると、右辺はルジャンドル変換の定義によりH∗となる。
L(v)≥p∈Rnsup(p⋅v−H(p))=H∗(v)
これで、逆の不等式L(v)≤H∗(v)が成立することを示せば、証明は完成する。H∗は定義により、次のようになる。
H∗(v)=p∈Rnsup(p⋅v−H(p))
しかし、H=L∗と仮定したので、次を得る。
H∗(v)=p∈Rnsup(p⋅v−r∈Rnsup(p⋅r−L(r)))=psuprinf(p⋅(v−r)+L(r) )
補助定理
もし関数f:Rn→Rが凸であれば、全てのx∈Rnに対して、次を満たすr∈Rnが存在する。
f(y)≥f(x)+r⋅(y−x)∀ y∈Rn
Lは凸であるため、補助定理により、全てのv∈Rnに対して、次の条件を満たすs∈Rnが存在する。
L(r)≥L(v)+s⋅(r−v)∀ r∈Rn
s⋅(r−v)を交換し、p=sを代入すると、(eq1)は次のようになる。
H∗(v)≥rinf(s⋅(v−r))=L(v)
したがって、H∗(v)≥L(v)であり、H∗(v)=L(v)である。
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