背理法の数理論理的証明
法則 1
$$ (p \land \lnot q) \to c \iff p \to q $$
- $c$ は矛盾を意味する。
説明
背理法 あるいは 帰謬法 は、数学全般で本当によく使われる証明法だ。しかし、初めて背理法に接する人は、この言葉自体が生見で拒絶感があるかもしれない。または、ただ慣れただけで、どうして背理法が機能するのか理解していない人もいるだろう。
下の文章を読んで、背理法を理解してみよう:
- (1) 結論 $q$ は真か偽かのどちらかだ。排中律2によって当然だ。
- (2) しかし、$\lnot q$ が真である場合に矛盾が発生するなら、少なくとも $\lnot q$ が真ではないことがわかる。
- (3) (1)では、$q$ は真か偽かのどちらかと言ったけど、$\lnot q$ が偽ならば $q$ は真でなければならない。
- (4) よって、$p \to q$ だ。
理解が難しいなら、数学を抜きにした例で確認してみよう:
- $p$:俺は腕が二本ある。
- $q$:俺は少なくとも腕が一本はある。
- $p \to q$:俺の腕が二本なら、少なくとも一本はある。
まず、言葉だけ見れば背理法も何も、あまりにも当然の事実だ。腕が少なくとも一本ないとどうやって腕が二本あるだろうか?でも、この当たり前の論理がまさに背理法そのものなんだ:
- まず、結論 $q$ を否定して、自分には腕が一本もないと仮定してみよう。
- しかし、仮定 $p$ で、自分の腕は二本と言ったが、これは矛盾だ。
- それならば、自分に腕が一本もないという $\lnot q$ が間違っていると考えるしかない。もちろんこれは、自分に腕が二本あるという仮定 $p$ が成り立つときの話だが、$p \to q$ だ。
証明
$$ \begin{align*} (p \land \lnot q) \to c \iff & \lnot ( p \land \lnot q ) \lor c \\ \iff & \lnot (p \land \lnot q) \\ \iff & \lnot p \lor q \\ \iff & p \to q \end{align*} $$
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