実数値を持つ可測関数の性質
📂測度論実数値を持つ可測関数の性質
定理
可測空間 (X,E)で定義された2つの関数 f,g:X→Rが可測関数ならば、以下の関数も全て可測である。
cf,f2,f+g,fg,∣f∣
証明
可測関数
すべての α∈Rに対して以下の式を満たす f:X→Rを可測関数という。
Sf(α):={x∈X ∣ f(x)>α}∈E,∀α∈R
cf
Case 1. c=0
{α>0α≤0{x∈X ∣ cf(x)=0>α}=∅∈E{x∈X ∣ cf(x)=0>α}=X∈E
Case 2. c>0
{x∈X ∣ cf(x)>α}={x∈X ∣ f(x)>cα}∈E
Case 3. c<0
{x∈X ∣ cf(x)>α}={x∈X ∣ f(x)<cα}∈E
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f2
Case 1. α<0
{x∈X ∣ f2(x)>α}=X∈E
Case 2. α≥0
{x∈X ∣ f2(x)>α}={x∈X ∣ f(x)>α}∪{x∈X ∣ f(x)<−α}∈E
右辺の二つの集合は両方とも Eの要素だ。従って、σ-代数の性質により、二つの集合の和集合もσ-代数の要素だ。
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f+g
r∈Qとする。そして、以下の集合を定義しよう。
Sr:={x∈X ∣ f(x)>r}∩{x∈X ∣ g(x)>α−r}
すると、右辺の二つの集合がEの要素なので、σ-代数の定義により、それらの交差点であるSrもEの要素だ。従って、Srの可算和集合もEの要素だ。すなわち、下記の等式を示せば、証明完了となる。
{x∈X ∣ (f+g)(x)>α}=r∈Q⋃Sr
式を簡単にするために、{x∈X ∣ (f+g)(x)>α}={f+g>α}としよう。
Part 1. {x∈X ∣ (f+g)(x)>α}⊃⋃r∈QSr
全てのrに対して、Srが{f+g>α}の部分集合であるため、上記の式が成り立つのは自明だ。
Part 2. {x∈X ∣ (f+g)(x)>α}⊂⋃r∈QSr
x∈{f+g>α}と仮定し、以下の式を満たす十分に小さいϵを見つけよう。
f(x)+g(x)>α+ϵ
そして、∣f(x)−r∣<ϵとなるような有理数r<f(x)を選ぼう。すると、以下が成り立つ。
r<f(x)<r+ϵ⟹f(x)−ϵ<r
これを(1)に代入すると、次を得る。
g(x)>α−(f(x)−ϵ)>α−r
従って、このようなrに対して、x∈Srなので、全てのrの和集合に対しても、x∈⋃r∈QSrである。
Part 1 と Part 2 により、次が成り立つ。
{x∈X ∣ (f+g)(x)>α}=r∈Q⋃Sr
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fg
fg=41[(f+g)2−(f−g)2]なので、上述の3つの結果によって成り立つ。
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∣f∣
Case 1. α≥0
{x∈X ∣ ∣f(x)∣>α}={x∈X ∣ f(x)>α}∪{f(x)<−α}であり、右辺の二つの集合がEの要素であるため、その交差点もEの要素だ。
Case 2. α<0
自明なので{x∈X ∣ ∣f(x)∣>α}=X∈Eである。
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