予測可能関数
定義1
$(X, \mathcal{E})$を可測空間としよう。集合$S_{f}(\alpha)$を次のように定義する。
$$ S_{f}(\alpha):=\left\{ x\in X\ |\ f(x) >\alpha \right\} = f^{-1}\left( (\alpha, \infty) \right),\quad \forall \alpha \in \mathbb{R} $$
全ての実数$\alpha \in \mathbb{R}$に対して、$S_{f}(\alpha) \in \mathcal{E}$が成立するならば、拡張実数値を取る関数$f : X \to \overline{\mathbb{R}}$を**$\mathcal{E}$-可測**$\mathcal{E}$-measurableまたは単に可測measurableという。
説明
特に$X=\mathbb{R}$の時は、ルベーグ可測という。関数が可測かどうかを判断する時、上の定義に合っているかを確認することになるが、その時に役立つ定理がある。
定理
関数$f : X \to \overline{\mathbb{R}}$について、以下の四つの条件は互いに同値である。
- (a) 全ての$\alpha \in \mathbb{R}$に対して、$A_{\alpha} = S_{f}(\alpha) =\left\{ x\in X : f(x) > \alpha \right\}$ $\in$ $\mathcal{E}$である。
- (b) 全ての$\alpha \in \mathbb{R}$に対して、$B_{\alpha}=\left\{ x\in X : f(x) \le \alpha \right\}$ $\in$ $\mathcal{E}$である。
- (c) 全ての$\alpha \in \mathbb{R}$に対して、$C_{\alpha}=\left\{ x\in X : f(x) \ge \alpha \right\}$ $\in$ $\mathcal{E}$である。
- (d) 全ての$\alpha \in \mathbb{R}$に対して、$D_{\alpha}=\left\{ x\in X : f(x) < \alpha \right\}$ $\in$ $\mathcal{E}$である。
証明
最初に、$A_{\alpha}$と$B_{\alpha}$は互いに補集合なので、σ-代数の性質**(D2)によって、(a)と(b)は同値である。同様に、(c)と(d)も同値である。したがって、(a)と(c)**が同値であることを示せば証明完了である。
集合$X$が与えられたとする。以下の条件を満たす$X$の部分集合たちのコレクション $\mathcal{E} \subset \mathcal{P}(X)$を**$\sigma$-代数**という。
- (D1) $\varnothing, X \in \mathcal{E}$
- (D2) $E \in \mathcal{E} \implies E^c \in \mathcal{E}$
- (D3) $E_{k} \in \mathcal{E}\ (\forall k \in \mathbb{N}) \implies \bigcup_{k=1}^\infty E_{k} \in \mathcal{E}$
- (D4) $E_{k} \in \mathcal{E}\ (\forall\ k \in \mathbb{N}) \implies \bigcap_{k=1}^\infty E_{k} \in \mathcal{E}$
(a) $\implies$ (c)
条件**(a)が成立すると仮定しよう。すると全ての$n\in \mathbb{N}$に対して$A_{\alpha-\frac{1}{n}}\in\mathcal{E}$が成立する。そして$C_{\alpha}=\bigcap_{n=1}^\infty A_{\alpha-\frac{1}{n}}$である。従って、$\sigma$-代数の定義(D3)**により$C_{\alpha} \in \mathcal{E}$である。
(c) $\implies$ (a)
条件**(c)が成立すると仮定しよう。すると全ての$n\in \mathbb{N}$に対して$C_{\alpha+\frac{1}{n}}\in\mathcal{E}$が成立する。そして$A_{\alpha}=\bigcup_{n=1}^\infty C_{\alpha+\frac{1}{n}}$である。従って、$\sigma$-代数の定義(D3)**により$A_{\alpha} \in \mathcal{E}$である。
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Robert G. Bartle, The Elements of Integration and Lebesgue Measure (1995), p8 ↩︎