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予測可能関数 📂測度論

予測可能関数

定義1

$(X, \mathcal{E})$を可測空間としよう。集合$S_{f}(\alpha)$を次のように定義する。

$$ S_{f}(\alpha):=\left\{ x\in X\ |\ f(x) >\alpha \right\} = f^{-1}\left( (\alpha, \infty) \right),\quad \forall \alpha \in \mathbb{R} $$

全ての実数$\alpha \in \mathbb{R}$に対して、$S_{f}(\alpha) \in \mathcal{E}$が成立するならば、拡張実数値を取る関数$f : X \to \overline{\mathbb{R}}$を**$\mathcal{E}$-可測**$\mathcal{E}$-measurableまたは単に可測measurableという。

説明

特に$X=\mathbb{R}$の時は、ルベーグ可測という。関数が可測かどうかを判断する時、上の定義に合っているかを確認することになるが、その時に役立つ定理がある。

定理

関数$f : X \to \overline{\mathbb{R}}$について、以下の四つの条件は互いに同値である。

  • (a) 全ての$\alpha \in \mathbb{R}$に対して、$A_{\alpha} = S_{f}(\alpha) =\left\{ x\in X : f(x) > \alpha \right\}$ $\in$ $\mathcal{E}$である。
  • (b) 全ての$\alpha \in \mathbb{R}$に対して、$B_{\alpha}=\left\{ x\in X : f(x) \le \alpha \right\}$ $\in$ $\mathcal{E}$である。
  • (c) 全ての$\alpha \in \mathbb{R}$に対して、$C_{\alpha}=\left\{ x\in X : f(x) \ge \alpha \right\}$ $\in$ $\mathcal{E}$である。
  • (d) 全ての$\alpha \in \mathbb{R}$に対して、$D_{\alpha}=\left\{ x\in X : f(x) < \alpha \right\}$ $\in$ $\mathcal{E}$である。

証明

最初に、$A_{\alpha}$と$B_{\alpha}$は互いに補集合なので、σ-代数の性質**(D2)によって、(a)(b)は同値である。同様に、(c)(d)も同値である。したがって、(a)(c)**が同値であることを示せば証明完了である。

$\sigma$-代数

集合$X$が与えられたとする。以下の条件を満たす$X$の部分集合たちのコレクション $\mathcal{E} \subset \mathcal{P}(X)$を**$\sigma$-代数**という。

  • (D1) $\varnothing, X \in \mathcal{E}$
  • (D2) $E \in \mathcal{E} \implies E^c \in \mathcal{E}$
  • (D3) $E_{k} \in \mathcal{E}\ (\forall k \in \mathbb{N}) \implies \bigcup_{k=1}^\infty E_{k} \in \mathcal{E}$
  • (D4) $E_{k} \in \mathcal{E}\ (\forall\ k \in \mathbb{N}) \implies \bigcap_{k=1}^\infty E_{k} \in \mathcal{E}$

(a) $\implies$ (c)

条件**(a)が成立すると仮定しよう。すると全ての$n\in \mathbb{N}$に対して$A_{\alpha-\frac{1}{n}}\in\mathcal{E}$が成立する。そして$C_{\alpha}=\bigcap_{n=1}^\infty A_{\alpha-\frac{1}{n}}$である。従って、$\sigma$-代数の定義(D3)**により$C_{\alpha} \in \mathcal{E}$である。

(c) $\implies$ (a)

条件**(c)が成立すると仮定しよう。すると全ての$n\in \mathbb{N}$に対して$C_{\alpha+\frac{1}{n}}\in\mathcal{E}$が成立する。そして$A_{\alpha}=\bigcup_{n=1}^\infty C_{\alpha+\frac{1}{n}}$である。従って、$\sigma$-代数の定義(D3)**により$A_{\alpha} \in \mathcal{E}$である。


  1. Robert G. Bartle, The Elements of Integration and Lebesgue Measure (1995), p8 ↩︎