静電気学における仕事とエネルギー
📂電磁気学静電気学における仕事とエネルギー
電荷を動かすためにした仕事
電位と電場の間には以下のような式が成立します。
−∫abE⋅dl=∫ab(∇V)⋅dl=V(b)−V(a)
したがって、固定された源電荷分布があり、テスト電荷 Qを点 aから点 bまで動かすときの仕事は次のように計算されます。
W=∫abF⋅dl=−Q∫abE⋅dl=Q[V(b)−V(a)]
この式を Qで割ると以下のようです。これは、aとbの電位差は電荷 Qをaからbへ動かすのに必要な仕事と同じという意味です。
V(b)−V(a)=QW
とても遠い場所から位置 rへ電荷 Qを動かすときの仕事は,
W=Q[V(r)−V(∞)]=QV(r)
点電荷分布のエネルギー
空っぽの空間からとても遠い場所にあった電荷 q1を動かしてきたとしましょう。空間が空だったので、電場はなく、したがって仕事も発生しません。
次に、電荷 q2を遠い場所から r2へ動かしてくるとします。今、q1があるため、電場があり、q2を動かすための仕事が発生します。q1が作る r2での電位をV1(r2)、q2を動かした後のq1との距離を
12としましょう。すると、上で導出した式によって、
W2=q2V1(r2)=q24πϵ01
12q1
同様に、電荷 q3を遠い場所からr3へ動かすとします。q1,q2が作る電場の影響を受けるため、
W3=q3[V1(r3)+V2(r3)]=q34πϵ01(
13q1+
23q2)
同様に、電荷 q4を持ってくると、
W4=q4[V1(r4)+V2(r4)+V3(4)]=q44πϵ01(
14q1+
24q2+
34q3)
したがって、最初の4つの電荷を集めるのに必要な仕事の合計量は、
W=4πϵ01(
12q1q2+
13q1q3+
14q1q4+
23q2q3+
24q2q4+
34q3q4)
n個の電荷を動かすことに一般化すると、
W=214πϵ01i∑nj=i∑n
ijqiqj
i=2、j=3の場合とi=3、j=2の場合は同じなので、全体の場合数から2を割りました。要約すると、
W=21i∑nqij=i∑n4πϵ01
ijqj
この時、括弧内は qiが存在する場所riが存在する場所にj=iのqjたちが作る電位ですので、
W=21i∑nqiV(ri)
これは、集まっている点電荷たちに蓄えられたエネルギーを意味します。
連続した電荷分布のエネルギー
点電荷について導出した式を線電荷密度、面電荷密度、体積電荷密度についてそれぞれ表すと、
W= 21∫λVdlW= 21∫σVdaW= 21∫ρVdτ
体積電荷に対する式で、ガウスの法則 ∇⋅E=ϵ0ρを使って ρの代わりに Eで表すと、
W=2ϵ0∫(∇⋅E)Vdτ
この式は部分積分法を使って以下のように変形できます。
W=2ϵ0[−∫E⋅(∇V)dτ+∮VE⋅da]
∇V=−Eなので、
W=2ϵ0[∫VE2dτ+∮SVE⋅da]
この場合、積分領域は電荷を含む領域であればどのような領域でも構いません。電荷がない場所の電荷密度はρ=0なので、全ての電荷を含む限り、積分領域をいくらでも大きくしても結果は変わりません。最初の項を見ると、積分領域が広がると積分値は積分関数が正であるため、続けて大きくなります。全体の値はWで固定されているので、最初の項の大きさが大きくなるほど、二番目の項である面積分の値は続けて小さくなります。したがって、全体の空間に対して積分すると、
W=2ϵ0∫total spaceE2dτ