チェビシェフの微分方程式とチェビシェフ多項式
📂微分方程式チェビシェフの微分方程式とチェビシェフ多項式
定義
次の微分方程式をチェビシェフChebyshev の微分方程式と呼ぶ。
(1−x2)dx2d2y−xdxdy+n2y=0
チェビシェフ微分方程式の解をチェビシェフ多項式と呼び、通常、Tn(x)で表記する。Tn(x)の一般項は以下のとおりである。
x−3!λ2−12x3+5!(λ2−12)(λ2−32)x5+m=3∑∞(−1)m(2m+1)!(λ2−12)(λ2−32)⋯(λ2−(2m−1)2)x2m+1
特に、最初の数個の多項式は以下の通りである。
T0(x)T1(x)T2(x)T3(x)⋮=1=x=2x2−1=4x3−3x
定理
チェビシェフ多項式 Tnに対して、次の等式が成り立つ。
Tn(cost)=cos(nt)
説明
Tn(x)はxに関するn次の多項式であったので、Tn(cost)はcostに関する多項式である。したがってチェビシェフ多項式はcos(nt)をcostに関するn次の多項式として展開したものとも理解できる。
n=2, 3の時に、うまく合うか確認すると
cos2t=cos2t−1=T2(cost)⟺T2(x)=x2−1
cos3t=4cos3t−3cost=T3(cost)⟺T3(x)=4x3−3x
また、x=costので、arccosx=tになり、上の式に代入すると
Tn(x)=cos(narccosx)orTn(x)=cos(ncos−1x)
証明
戦略: x=costで置換した時に、y=cos(nt)がチェビシェフの微分方程式の解になることを示す。
x=costとすると
dx=−sintdt⟹dxdt=−sint1
したがって、y′は次のようになる。
dxdy=dtdydxdt=−sint1dtdy
y′′は以下の通りである。
dx2d2y=dxd(dxdy)=dtd(dxdy)dxdt=dtd(sint1dtdy)sint1=sint1(sin2t−costdtdy+sint1dt2d2y)=sin2t1(sint−costdtdy+dt2d2y)
上記の式を(def1)に代入すると、次のようになる。
(1−cos2t)sin2t1(sint−costdtdy+dt2d2y)−cost(−sint1)dtdy+n2y=0
整理すると
y′′+n2y=0
よってTn(cost)は上記の微分方程式の解になる。だが、その式はとても簡単な2次微分方程式であり、一般解はy=C1cos(nt)+C2sin(nt)である。したがって、
Tn(cost)=cos(nt)
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参照