ディッキー-フラー検定
仮設検定
時系列データ $\left\{ y_{t} \right\}$ が与えられているとしよう。
- $H_{0}$: データ $\left\{ y_{t} \right\}$ は定常性を持たない。
- $H_{1}$: データ $\left\{ y_{t} \right\}$ は定常性を持つ。
説明
ディッキー-フラー検定は、時系列データが 定常性 を持つか持たないかを確認する時に使われる仮設検定だ。定常性を持たない場合は、差分化を通じて平均を一定にする必要がある。この診断が平均に対してのみ行われるという点に注意が必要だ。分散に対しては気にしないから、これに対する別の検定が必要だ。
コード
実習
Rでは、adf.test()
関数を通じて簡単にディッキー-フラー検定を行うことができる。
組み込みデータ oil.price
を読み込んでみよう。
データを見ると、後に行くほど増加傾向にあることが分かる。実際、ディッキー-フラー検定を行うと、p値が $0.99$ で非常に高く出る。帰無仮説を棄却できなかったので、データは定常性を持つとは言えない。
一方、差分化した後のデータは、$0$ を中心に動くことが分かる。実は、ディッキー-フラー検定を行うと、帰無仮説を棄却して定常性を持つと言う。しかし、見ての通り、後に行くほど分散は徐々に大きくなる。データが定常性を持つとディッキー-フラー検定で示されるのは、平均が一定だという意味であり、完全な定常性自体を保証するものではない。
全コード
library(tseries)
data("oil.price")
adf.test(oil.price)
adf.test(diff(oil.price))