移動平均過程
モデル 1
白色雑音 $\left\{ e_{t} \right\}_{t \in \mathbb{N}}$ について$Y_{t} := e_{t} - \theta_{1} e_{t-1} - \theta_{2} e_{t-2} - \cdots - \theta_{q} e_{t-q}$と同様に定義された$\left\{ Y_{t} \right\}_{ t \in \mathbb{N} }$を**$q$次移動平均過程 $MA(q)$**と呼ぶ。
- (1): $MA(1) : Y_{t} = e_{t} - \theta e_{t-1}$
- (2): $MA(2) : Y_{t} = e_{t} - \theta_{1} e_{t-1} - \theta_{2} e_{t-2}$
- (q): $MA(q) : Y_{t} = e_{t} - \theta_{1} e_{t-1} - \theta_{2} e_{t-2} - \cdots - \theta_{q} e_{t-q}$
- (∞): $MA( \infty ) : Y_{t} = e_{t} - \theta_{1} e_{t-1} - \theta_{2} e_{t-2} - \cdots$
- $\mathbb{N}$ は自然数の集合 $\left\{ 1, 2, 3 , \cdots \right\}$ を意味する。
説明
次の図の緑、赤、オレンジ、紫の線を移動平均線と呼ぶ。
移動平均線は、特に株式市場等で広く利用されるグラフで、日々の極端な変動ではなく平均を見ることで全体的なトレンドを見るのに役立つ。しかし、式だけを見て$MA(q)$を「移動平均過程」と呼ぶ理由は理解しにくいが、例えば$MA(2) : Y_{t} = e_{t} - \theta_{1} e_{t-1} - \theta_{2} e_{t-2}$とした場合、$\displaystyle \theta_{1} = \theta_{2} = - {{1} \over {2}}$の時に$\displaystyle Y_{t} = {{ e_{t-1} + e_{t-2} } \over {2}} + e_{t}$になることを考えれば良い。
ある変数が順調に成長したり、減退している場合、つまり局所的な変動が少ない場合は、移動平均線を見る意味がない。同様に、移動平均は変化を滑らかにするだけで、スケール自体を変えるわけではない。同様に、$MA(q)$は$q$より短い区間でのパターンを把握することに関心を持ち、具体的な値や大きなトレンドについては知ったことではない。言い換えれば、定常性を持ったデータにのみ使用できる。
Cryer. (2008). Time Series Analysis: With Applications in R(2nd Edition): p57. ↩︎