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ポテンシャル 📂電磁気学

ポテンシャル

説明1

電界は常にカール(回転)が0\mathbf{0}になる特別なベクトル関数だ。この特性から、電場E\mathbf{E}に関連する電位electric potentialというスカラー関数を導入する。電位はVVと表記され、電場E\mathbf{E}と以下の関係が成り立つ。

E=V \mathbf{E} = -\nabla V

従って、電位VVを知れば、電場E\mathbf{E}を知ることができる。電位はスカラー関数なので、ベクトル関数である電場を直接求めるよりも、電位を求める方が簡単である。電場と電位の関係は、重力と位置エネルギーの関係に似ている。ただし、電場の単位は力ではないため、電位は正確にはポテンシャルエネルギーではなく、単にポテンシャルである。

以下の結果は、電場が正確に電位の勾配であり、電位を知っていればその勾配を計算して電場を知ることができるという意味である。また、この内容は電場だけでなく、カールが0\mathbf{0}になるすべてのベクトル関数に適用される。

導出

1.PNG

×E=0\nabla \times \mathbf{E}=0であることを証明する過程で、電場の閉路に対する線積分が00であることがわかった。上の図で、11の経路と22の経路を組み合わせると、点a\mathbf{a}から点a\mathbf{a}へ戻る閉路が形成される。したがって、

1Edl+2Edl=0 \int _{1} \mathbf{E} \cdot d\mathbf{l} + \int_2 \mathbf{E} \cdot d\mathbf{l} =0

となるので、11の経路と22の経路の積分値は、大きさは同じで符号は逆である。11の経路を反転させ、両方とも点a\mathbf{a}から点b\mathbf{b}へ行く経路とすると、両者は同じ値を持つ。

電場の線積分は経路に依存しないので、ある基準点O\mathcal{O}から位置r\mathbf{r}までの積分は常に同じ値を持つ。従って、スカラー関数VVを以下のように定義しよう。

V(r)OrEdl V(\mathbf{r} ) \equiv - \int _\mathcal{O} ^{\mathbf{r}} \mathbf{E} \cdot d \mathbf{l}

すると、電位の定義により、次の式が成り立つ。

V(b)V(a)= ObEdl+OaEdl= abEdl \begin{align*} V(\mathbf{b} )- V( \mathbf{a} ) =&\ -\int _\mathcal{O} ^{\mathbf{b}} \mathbf{E} \cdot d\mathbf{l} +\int_\mathcal{O} ^{\mathbf{a}} \mathbf{E} \cdot d \mathbf{l} \\ =&\ -\int_\mathbf{a} ^\mathbf{b} \mathbf{E} \cdot d\mathbf{l} \end{align*}

勾配の基本定理

T(b)T(a)=ab(T)dl T(b)-T(a) = \int _{a}^{b} (\nabla T) \cdot d\mathbf{l}

また、勾配の基本定理により、次の式が成り立つ。

V(b)V(a)=ab(V)dl V( \mathbf{b} ) - V (\mathbf{a} ) = \int_{\mathbf{a}}^{\mathbf{b}}\left( \nabla V \right) \cdot d\mathbf{l}

従って、ab(V)dl=abEdl\displaystyle \int_\mathbf{a} ^ \mathbf{b} \left( \nabla V \right) \cdot d\mathbf{l} = -\int_\mathbf{a} ^\mathbf{b} \mathbf{E} \cdot d\mathbf{l}なので、

E=V \mathbf{E} = -\nabla V


  1. David J. Griffiths, 基礎電磁気学(Introduction to Electrodynamics, 金珍勝訳) (4th Edition, 2014), p86-87 ↩︎